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会計事務所のAIツール選定セキュリティチェックシート|ベンダーに送る質問票
AIツール・開発会社の選定に
ベンダーに聞くこと

42問
セキュリティ質問票
学習・保存・権限まで確認運営元・掲載情報について
本記事は、会計士・税理士事務所向けのAI導入・開発支援「Zeimee」を提供する株式会社Zeimeeが執筆・運営しています。質問票は、2026年10月10日時点の一次資料をもとに整理した確認項目です。特定のベンダーを採点するものではありません。サービスの条件は変更されるため、契約前に最新の資料を確認してください。
AIツールの営業資料に「セキュリティ対策は万全」とあっても、顧問先に説明できるほど具体的な情報はなかなか出てきません。何をどう質問すればよいか、迷うことも多いのではないでしょうか。
この記事では、会計事務所・記帳代行がAIツールや導入支援会社(開発会社)を選定するときに確認すべきセキュリティ項目を法令・ガイドラインの根拠と一緒に整理し、送付用に転記して使える質問票と回答の読み方までまとめます。
- 認証の有無より先に、「どのデータを・どこで・誰が・いつまで扱うか」を書面で回答してもらいます。
- 個人データの取扱いを委託する場合、委託先の選定・契約・取扱状況の把握が求められます(個人情報保護法25条、通則ガイドライン3-4-4)。質問票と回答は、選定時に確認した記録になります。
- 一般的なIT項目に加え、顧問先単位の分離、会計ソフトの認証情報、承認と反映の区別、マイナンバー業務の再委託許諾という会計事務所に固有の項目を必ず入れます。
- 回答は利用規約・契約書・データ処理の付属合意と突き合わせ、食い違いは契約前に解消します。
| 区分 | 確認する内容 |
|---|---|
| A 前提/B 学習・保持 | 構成・契約、学習、保存期間、人の閲覧 |
| C 地域/D 境界・権限 | 保存と処理の国、顧問先分離、暗号化、アクセス制御 |
| E 連携/F 承認・記録 | 認証情報、登録権限、候補の承認と反映 |
| G 再委託/H 事故・継続 | 再委託先、認証、脆弱性、事故連絡と復旧 |
| I 契約/J 業務/K 開発支援 | 終了・責任分担、例外処理、作業者・成果物・開発データ |
AIツールの質問票を送る前に決める3つのこと
前提が決まっていないと、ベンダーは一般論で答えるしかありません。送る前に次の3点を事務所内で決め、質問票に添えます。
決めること1:扱うデータの区分
例えば、顧問先の帳簿・証憑、個人顧問先の所得や家族の情報、マイナンバー、会計ソフトのIDや連携情報、事務所の内部資料などに分け、どの区分をツールに入れる予定かを書き出します。区分の考え方は会計事務所の生成AIセキュリティ対策、入力してよいかの判断は税理士の守秘義務と生成AIで解説しています。
決めること2:AIに任せる範囲(読む・提案する・反映する)
AIに任せる範囲は「読む」「提案する」「反映する」の3段階で考えます。段階が上がるほど、確認すべき項目が増えます。
| 段階 | AIがすること | 追加で確認する項目 |
|---|---|---|
| 読む | 証憑の読み取り、資料の要約 | 学習利用、保持期間、処理地域、人の閲覧 |
| 提案する | 仕訳候補やチェック結果の作成 | 上記に加え、顧問先単位の分離、候補の確認・承認の記録 |
| 反映する | 会計ソフトへの登録 | 上記に加え、認証情報の扱い、承認と反映の区別、反映失敗の扱い |
決めること3:契約の形
汎用サービスか、カスタマイズ・新規開発かを明記します。組み込まれるAIサービスの規約も確認し、個別開発・導入支援ではK区分を使います。
AIツール選定セキュリティチェックシート|ベンダーに送る質問票テンプレート
対象段階に応じて選び、送付用に転記する11区分・42問の確認項目です。DPAはデータ処理の付属合意を指します。「全段階」は読み取りだけでも確認し、会計ソフトに反映しない場合は反映段階の項目を省けます。個別開発・導入支援はK区分も使います。
| 番号 | 質問 | 対象段階 | 根拠として求める資料 |
|---|---|---|---|
| A1 | 提供形態(汎用サービス/他社の基盤モデルを組み込んだサービス/個別開発)と、基盤モデルの提供者名 | 全段階 | サービス構成の説明資料 |
| A2 | 契約の主体、準拠法、利用規約を変更するときの通知方法 | 全段階 | 利用規約、契約書のひな形 |
| B1 | 入力・出力・添付ファイルを学習や品質改善に使うか。既定の設定、変更方法、根拠条項 | 全段階 | 規約・DPAの該当条項、設定画面 |
| B2 | 処理成果(抽出結果、ベクトルデータなどの中間生成物)の利用目的と消去の時期 | 全段階 | 規約・DPAの該当条項 |
| B3 | 入力・出力・処理記録・不正監視用ログ・バックアップの、種類ごとの保持期間 | 全段階 | データ保持の方針 |
| B4 | 障害対応や不正監視などで、貴社・再委託先の担当者がデータを閲覧する場面と、その承認・記録の方法 | 全段階 | 閲覧手続きの説明資料 |
| B5 | 事務所の求めによる削除の可否、対象の範囲、期間 | 全段階 | 削除手順の説明 |
| 番号 | 質問 | 対象段階 | 根拠として求める資料 |
|---|---|---|---|
| C1 | データの保存地域 | 全段階 | データ所在地の説明資料 |
| C2 | AIの処理(推論)を行う地域と、保存地域との違い | 全段階 | 同上、基盤モデル提供者の文書 |
| C3 | 運用・サポートの拠点と、アカウント情報などシステムデータの所在 | 全段階 | 運用体制の説明資料 |
| C4 | 外国で取り扱う場合の、その国の制度の把握状況と、本人への説明に使える情報の提供 | 全段階 | 外国の制度に関する説明資料 |
| D1 | 他の事務所(テナント)とのデータ分離の方式 | 全段階 | システム構成の説明資料 |
| D2 | 顧問先ごとの分離。AIへの入力や検索対象に、別の顧問先のデータが混ざらない仕組み | 全段階 | 同上、画面の説明 |
| D3 | 担当者ごとの閲覧・編集・承認・管理の権限、退職者の無効化、多要素認証 | 全段階 | 権限設定の画面・マニュアル |
| D4 | AIに渡す情報を処理ごとに必要な項目へ絞っているか。マイナンバーや不要な個人情報の除外 | 全段階 | 処理の流れの説明資料 |
| 番号 | 質問 | 対象段階 | 根拠として求める資料 |
|---|---|---|---|
| E1 | 会計ソフトとの連携方式(API・CSV取込・画面操作の自動化など)と、権限(読み取りのみか登録までか) | 反映する場合 | 連携仕様の説明資料 |
| E2 | 会計ソフトの認証情報の保管場所と暗号化、画面や処理記録への表示の有無、AIに渡すかどうか | 反映する場合 | セキュリティ仕様書 |
| E3 | 事務所側で連携を解除・失効させる手順 | 反映する場合 | 操作マニュアル |
| F1 | AIの候補を担当者が確認・修正・却下・承認できるか。誰がいつ承認したかの記録 | 提案・反映する場合 | 画面の説明、記録のサンプル |
| F2 | ツール内の承認と会計ソフトへの反映完了を別に記録するか。反映に失敗したときの扱い | 反映する場合 | 同上 |
| F3 | 操作・認証・管理者アクセスの記録の保存期間と、事務所が記録を取得する方法 | 全段階 | ログの仕様、取得手順 |
| 番号 | 質問 | 対象段階 | 根拠として求める資料 |
|---|---|---|---|
| G1 | 再委託先(基盤モデル提供者、クラウド基盤、OCR、サポート)の一覧・所在国と、変更時の通知方法 | 全段階 | 再委託先の一覧 |
| G2 | マイナンバーを扱う処理の再委託の有無と、最初の委託者(顧問先)の許諾を得る手続きへの協力 | 全段階 | 契約書の該当条項 |
| G3 | 第三者認証の名称・登録範囲・有効期限・対象サービス | 全段階 | 登録証、認定機関の検索結果 |
| G4 | 監査や資料提供(構成資料、脆弱性の修正履歴など)への協力 | 全段階 | 契約書の監査条項 |
| H1 | 漏えい等を知ってから事務所へ通知するまでの目安と連絡経路 | 全段階 | 契約書、事故対応の手順書 |
| H2 | 原因調査への協力、記録の提供、再発防止策の報告 | 全段階 | 同上 |
| I1 | 契約終了時のデータ返却の形式と期限 | 全段階 | 契約書の該当条項 |
| I2 | 削除の期限と対象(バックアップを含むか)、削除証明の発行 | 全段階 | 同上、削除証明のサンプル |
| J1 | 対応しない帳票や例外処理を担当者に戻す条件 | 提案・反映する場合 | 処理の流れの説明資料 |
| J2 | 顧問先の追加や会計ソフトの変更時に必要な設定作業と、費用の決まり方 | 提案・反映する場合 | 料金表、見積もりの条件 |
| J3 | 改修の範囲、事前通知の有無、検証環境の有無 | 提案・反映する場合 | 契約書、保守の条件 |
| 番号 | 質問 | 対象段階 | 根拠として求める資料 |
|---|---|---|---|
| D5 | 通信・保存データの暗号化、鍵の管理、アクセス元の制限 | 全段階 | 暗号化・アクセス制御の仕様書 |
| G5 | 脆弱性診断の対象・頻度、発見した問題の修正と報告 | 全段階 | 診断方針と修正状況の要約 |
| H3 | 稼働率の約束、障害時の連絡・サポート時間と手作業への切替方法 | 全段階 | サービス水準と障害対応条件 |
| H4 | バックアップの対象・頻度、復旧の目標と復旧テスト | 全段階 | バックアップ・復旧の説明資料 |
| I3 | 損害賠償の上限・免責、AI出力の誤りの責任分担、事業終了時の返却 | 全段階 | 契約の該当条項 |
| K1 | 開発・テストに本番データを使うか。必要な場合の加工・利用承認の方法 | 個別開発・導入支援の場合 | 開発用データの運用規程 |
| K2 | 事務所データに触れる作業者の範囲と秘密保持の義務 | 個別開発・導入支援の場合 | 体制表、秘密保持契約・誓約の説明 |
| K3 | 作業端末の保護、データ持出し・私物端末の利用ルール | 個別開発・導入支援の場合 | 端末・持出しの運用規程 |
| K4 | 成果物・ソースコード・設定の帰属と、終了後に事務所へ残るもの | 個別開発・導入支援の場合 | 契約・納品物一覧 |
| K5 | 保守終了時のアカウント・権限の削除とデータ返却の確認 | 個別開発・導入支援の場合 | 終了時の手順・チェック表 |
| 番号 | 質問 | 回答 | 根拠条項・ページ | 回答者・日付 |
|---|---|---|---|---|
| B1 | 入力・出力・添付ファイルを学習等に使うか | (回答欄) | (根拠欄) | (回答責任者と日付) |
開発・導入支援では、現場で業務を確認する作業者が触れる情報も確認します。運営元の導入事例も現場確認を含むため、K区分の確認対象になります。質問票は次の手順で送ります。
1. 前提シートを添える
扱うデータの区分と、AIに任せる範囲(読む・提案する・反映する)を書いて添付します。
2. 回答期限と回答者を指定する
回答期限と回答責任者(部署・氏名)を記入する欄を設け、契約相手の会社名義で書面回答を依頼します。
3. 根拠資料を回収する
利用規約、DPA、認証の登録証などを回答と一緒に受け取ります。
4. 回答を契約条項と突き合わせる
回答と規約・契約の記載が一致しているかを確認します。
5. 定期的に再確認する
年1回と規約改定時を目安に、同じ質問票で確認し直します。
6. 判定と根拠を保存する
採否・条件・判定日・承認者と、回答・根拠資料の版を一緒に残します。規約改定時に差分を確認できるようにします。
会計事務所がAIベンダーに確認すべき理由|委託先の監督と守秘義務
| 根拠 | 確認すること | 質問区分 |
|---|---|---|
| 個人情報保護法23条・25条、通則編3-4-4 | 安全管理措置、取扱いの委託に当たる場合の選定・契約・取扱状況 | B・D・G・H |
| PPC注意喚起(2023年6月2日) | 利用目的の範囲。本人同意なく個人データを入力する場合は機械学習等に利用しないこと等 | B |
| 税理士法38条、公認会計士法27条 | 顧問先の秘密を外部へ渡す根拠 | A・B・C |
| 番号法10条 | マイナンバーの処理を再委託する場合は最初の委託者(顧問先)の許諾。ベンダーが再々委託する場合も顧問先が許諾する | G2 |
国内委託、外国第三者への提供、事業者が取り扱わないクラウドを分け、契約と実態で判断します(法27・28条、Q&A 7-53・7-54)。
詳細は守秘義務と入力可否の判断表、許諾の書類は顧問先への同意・通知の整理を参照してください。条番号は確認日時点の現行法で、公布済み改正は個人情報保護法の改正で施行状況を確認します。
学習利用・保持期間・ベンダー側の閲覧を確認する
入力・出力・添付ファイル・中間生成物・各種ログ・バックアップを分け、学習や品質改善への利用、既定設定、保持期間と根拠条項を確認します(B1〜B5)。学習済みモデルからの情報除去は一般に困難なため、不要な情報を入れないことが基本です(経産省チェックリスト4.2.1)。
「学習しない」と「保存しない」は別の問い
学習の対象外でも、サービスの利用記録や不正監視、バックアップ等で保存される場合があります。入力・出力・ログを一括して「保存しない」と扱わず、対象と期間、例外、削除方法を契約で確認します。
ベンダー側の人が内容を見る場面
障害対応・不正監視・品質確認時に、誰が何を閲覧できるか、その承認と記録を確認します(B4)。
保存場所と処理地域を分けて確認する|外国にある第三者との関係
「国内データセンターです」だけでは足りません。保存地域、AIの処理(推論=入力に対して結果を計算すること)を行う地域、運用・サポートの拠点、アカウント情報などシステムデータの所在を分けて質問します(C1〜C4)。
事業者が個人データを取り扱わない場合でも、外国で取り扱うデータの安全管理措置にはその国の制度の把握が必要です(Q&A 12-3)。外国にある第三者への提供に当たる場合は、EU・英国など法令上の同等国や基準適合体制の例外を除き原則本人同意が必要です。基準適合体制による場合も法28条3項の措置と本人への情報提供が必要です。保存国だけで判断せず、判断表に沿って契約と実態を確認します。
顧問先単位のデータ境界と会計ソフトの認証情報
事務所・顧問先単位の分離と権限
事務所間・顧問先間で証憑、仕訳ルール、AI入力、検索対象が混ざらないかを確認します。権限、多要素認証、退職者の無効化、入力情報の最小化と番号の除外も対象です(D1〜D5)。
会計ソフト連携の方式と認証情報
会計ソフトとの連携には、公式のAPI連携(ソフト同士が決められた手順でデータをやり取りする仕組み)、CSV取込、画面操作の自動化などの方式があり、権限も読み取りのみか登録までかで異なります。認証情報の保管と暗号化、画面や処理記録に表示しないこと、AIに渡さないこと、事務所側で連携を解除する手順を確認します(E1〜E3)。方式ごとの違いは会計ソフトとAIの連携方法を比較で解説しています。
IDとパスワードを預けて代わりにログインしてもらう方式なら、会計ソフトの利用規約で認められた方法かも確認します。
承認と反映の区別・処理記録・漏えい時の連絡
候補の承認と会計ソフトへの反映を分けて記録する
AIが作った候補を担当者が確認・修正・却下・承認でき、誰がいつ承認したかが残るか(F1)、ツール内の承認と会計ソフトへの反映完了を別に記録し、反映失敗を成功扱いにしないか(F2)を確認します。例えば、二重登録や別の顧問先への登録、承認済みなのに未反映といった事態を防ぐためです。
処理記録の保存と取得
利用・認証・アクセス・操作のログについて、管理者・開発者の操作を含む保存期間と取得方法を聞きます(F3)。
漏えい時の通知の目安を契約で決める
法26条・施行規則7条の報告対象は要配慮個人情報、財産的被害、不正目的、本人1,000人超の漏えい等です。高度な暗号化等の除外と本人通知の例外もあります。委託先が委託元へ通知する場合の報告免除を踏まえ、役割を定めます。
通則編の通知・速報の目安は概ね3〜5日以内、確報は30日以内(不正目的は60日以内)です。法令上の目安と契約の期限を区別し、連絡経路と調査協力も決めます(H1・H2)。
運営元のZeimeeは、候補の承認と会計ソフトへの反映を別段階として記録する方針をセキュリティページで公開しています。学習利用・保持期間・処理地域は同ページに記載がないため、質問票で確認してください。
再委託先・第三者認証・契約終了時の削除
再委託先の一覧と変更時の通知
基盤モデルの提供者、クラウド基盤、OCR(文字の読み取り)、サポートの委託先など、再委託先の一覧と所在国、変更時の通知・承認の方法を確認します(G1)。マイナンバーを扱う処理を再委託する場合は、最初の委託者である顧問先の許諾を得る手続きへの協力を確認します(G2、番号法10条)。
第三者認証は登録範囲と対象サービスで読む
| 認証 | 内容 | 確認すること |
|---|---|---|
| ISMS(JIS Q 27001) | 情報セキュリティマネジメントシステムの認証 | 登録範囲に当該サービスと開発・運用部門が含まれるか(ISMS-AC認定の認証機関による認証は同センターの検索で確認。海外の認定機関による認証は登録証・認証機関の公開情報で確認)、有効期限 |
| ISMSクラウドセキュリティ認証 | ISMS認証に加え、クラウドサービス固有の管理策(ISO/IEC 27017)の実施を認証 | 契約対象のクラウドサービス名、登録範囲、有効期限 |
| プライバシーマーク | JIS Q 15001に準拠した個人情報保護の仕組み。原則として法人単位で付与、有効期間2年 | 付与を受けた法人が契約相手と同じか、有効期間 |
| ISO/IEC 42001(JIS Q 42001:2025) | AIマネジメントシステムの規格。ISMS-ACは2025年7月に認証機関の認定を開始し、2026年1月に初の認証機関を認定 | 登録範囲に当該AIサービスが含まれるか |
いずれも組織の管理の仕組みを評価するもので、AIへの入力データの扱いを個別に保証するものではありません。認証があっても、学習利用や処理地域などの質問は省略しません(G3)。経済産業省のチェックリストは、構成資料やSBOM(ソフトウェアの部品表)、脆弱性の修正履歴の確認、監査条項を契約に入れることも挙げています(G4)。
契約終了時の返却・削除と規約変更
契約終了時は、データの返却形式と期限、削除の期限と対象(バックアップを含むか)、削除証明の発行を確認します(I1・I2)。経済産業省のチェックリスト(A-3-4)や、IPA『中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン』第4.0版の付録7(No.13)も同じ観点を挙げています。
規約変更の通知方法を聞き、年1回と改定時に再確認します。定型約款は一定要件で個別合意なく変更されるため(民法548条の4)、変更履歴も残します。
業務面の確認|例外処理・顧問先の追加・改修の範囲
業務面では、例外処理を人に戻す条件、顧問先の追加や会計ソフト変更時の作業と費用、改修の範囲と事前通知を聞いておくと、導入後の想定外を減らせます(J1〜J3)。
精度は数値の約束を求めるより、評価方法(対象の帳票と確認工程)を聞くほうが実態をつかめます。AIの出力は誤りを含みうるため、人の確認を前提に工程を設計します。内製・外注・パッケージの選び方は会計事務所のAI導入は内製・外注・パッケージのどれ?で比較しています。
回答の読み方と契約への落とし込み
回答の断定の強さではなく、求めた範囲を根拠資料が裏付けるかで判定します。
| 判定 | 基準 | 残す記録 |
|---|---|---|
| 可 | 対象の情報・段階で必要な条件を根拠資料で確認できた | 判定日・承認者・根拠資料の版 |
| 条件付き可 | 入力情報や利用段階を限定すれば条件を満たす | 除外情報・使える範囲・見直し日 |
| 不可 | 必要な条件を確認できず、限定しても処理できない | 未回答項目・見送る理由 |
口頭の回答は書面にしてもらい、契約書・利用規約・DPAと食い違う点は契約前に解消します。回答が得られない項目があれば、(1)マイナンバーや個人顧問先の所得情報など機密性の高い情報を入力対象から外す、(2)AIに任せる範囲を「提案」までにとどめる、(3)見送る、のいずれかで判断します。ベンダーが回答を断った場合も、公開されている規約や資料で代わりに確認したうえで同じように判断します。
受託側として回答を用意する場合は記帳代行・経理BPOのセキュリティ対策を、回答の内容を所内の規程に反映する場合は税理士事務所の生成AI利用規程の作り方を参照してください。
よくある質問
質問票に回答してもらえない場合はどうしますか?
公開資料と契約で代わりに確認できるかを調べ、足りない項目を記録します。必要な条件を確認できなければ、対象情報や段階を限定するか見送ります。回答がないことだけで安全・危険を断定しません。
業務用の契約なら確認を省けますか?
契約名だけでは判断できません。利用する機能・基盤モデル・設定を前提に、学習利用、保存、処理国、再委託を確認します。
小規模な事務所でも質問票は必要ですか?
委託に当たる場合、委託先の安全管理措置を選定時に確認することは、規模にかかわらず求められます。通則編3-4-4の注記(※3)は、個人データの内容や規模に応じた適切な方法が必要で、現地確認に代わる合理的な方法(口頭確認を含む)も考えられるとしています。関係する区分に絞って使ってください。
ISMSやプライバシーマークがあれば、質問しなくてよいですか?
いいえ。認証は登録範囲や対象サービスを確認する必要があり、AIへの入力データの扱いを個別に保証するものではありません。学習利用・保持期間・処理地域などは別に確認します。
「学習に使わない」なら、顧問先の情報を入力してよいですか?
それだけでは判断できません。保持期間、人の閲覧、再委託、処理地域を確認したうえで、守秘義務との関係を整理する必要があります。判断表は税理士の守秘義務と生成AIにまとめています。
海外の基盤モデルを使うサービスは使えませんか?
直ちに使えないわけではありません。事業者がデータを取り扱わない場合でも、その国の制度を把握した安全管理措置が必要です。外国への提供に当たる場合は、同等国・基準適合体制などの例外を除き原則本人同意が必要です。保存国だけで判断せず専門家に確認します。
AIツールを使うには顧問先の同意が必要ですか?
委託に当たるか、第三者提供に当たるかで異なります。同意書や顧問契約書の見直し方はAI利用に顧問先の同意は必要?で解説しています。
質問票はいつ見直せばよいですか?
法令で時期が決まっているわけではありませんが、利用規約の改定時と年1回を目安に再確認することをおすすめします。新しい機能や組み込みモデルが追加されたときも確認します。
まとめ
AIツールの選定は、前提(扱うデータ・AIに任せる範囲・契約の形)を決め、対象段階に合う質問を送り、根拠資料と契約条項で裏を取り、定期的に見直す流れで進めます。
一般的なIT項目だけでなく、顧問先単位の分離、会計ソフトの認証情報、承認と反映の区別、マイナンバー業務の再委託許諾という会計事務所に固有の4項目を必ず確認してください。全体像は会計事務所の生成AIセキュリティ対策、入力可否の整理は税理士の守秘義務と生成AI、令和8年改正は個人情報保護法の令和8年改正で解説しています。
参考資料
情報の確認日:2026年10月10日。別日の資料は個別に記載しています。
主な出典
- 個人情報保護法ガイドライン 通則編(個人情報保護委員会)
安全管理と委託先の監督。
- 生成AIサービスの利用に関する注意喚起(個人情報保護委員会)
入力情報・学習利用の確認。
- AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(経済産業省)
提供会社へ確認する契約上の論点。
付録7のクラウドサービス安全利用の手引き。
出典の詳細を見る
法令は改正されることがあるため、最新の条文をご確認ください。日本税理士会連合会のガイドラインは本文を確認できていないため、存在の紹介にとどめています(各団体の指針は税理士のAIガイドライン一覧を参照)。
法令(e-Gov法令検索)
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)(デジタル庁 e-Gov法令検索、現行版(令和8年法律第56号(2026年7月17日公布)による改正は一部を除き未施行))
- 個人情報の保護に関する法律施行令(デジタル庁 e-Gov法令検索、現行版)
- 個人情報の保護に関する法律施行規則(デジタル庁 e-Gov法令検索、現行版)
- 税理士法(昭和26年法律第237号)(デジタル庁 e-Gov法令検索、現行版)
- 公認会計士法(昭和23年法律第103号)(デジタル庁 e-Gov法令検索、現行版)
- 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法)(デジタル庁 e-Gov法令検索、現行版)
- 民法(明治29年法律第89号)(デジタル庁 e-Gov法令検索、現行版)
個人情報保護委員会
- 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)(個人情報保護委員会、令和8年6月一部改正)
- 「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A Q7-53(個人情報保護委員会、更新日の記載なし)
- 「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A Q7-54(個人情報保護委員会、更新日の記載なし)
- 「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A Q12-3(個人情報保護委員会、令和3年9月更新)
- 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について(個人情報保護委員会、2023年6月2日)
- 個人情報保護法等の一部を改正する法律案について(記者配布資料)(個人情報保護委員会事務局、2026年4月)
官公庁・独立行政法人
- AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(経済産業省、2025年2月)
- AI事業者ガイドライン(第1.2版)(総務省・経済産業省、2026年3月31日)
- 中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版(付録7 中小企業のためのクラウドサービス安全利用の手引き)(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)、2026年3月27日公開)
認証制度の運営団体・業界団体
- ISMSクラウドセキュリティ認証(一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC))
- AIMS適合性評価制度(一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC))
- プライバシーマーク制度の概要(一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC))
- 日本税理士会連合会「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン」(日本税理士会連合会、2026年9月策定(2026年9月30日のお知らせ)。本文は会員向けページのため確認できていません)
この記事の編集方針・執筆者
Zeimee編集部は、会計事務所のAI導入・開発を支援する株式会社Zeimeeの編集部です。
本記事は、会計事務所がAIツールや導入支援会社を選ぶときに確認すべき事項を、法令(e-Gov法令検索)、個人情報保護委員会のガイドライン・Q&A・注意喚起、経済産業省・総務省・IPAの指針、認証制度の運営団体の公表資料といった一次情報を中心に調査して整理しています。情報の確認日は2026年10月10日です。
他社サービスの記述は公式文書の記載を確認したもので、実機での検証は行っていません。令和8年の個人情報保護法改正は確認日時点で主要部分が未施行のため、現行法と書き分けています。法令の解釈や個別の事案への当てはめは、弁護士などの専門家や個人情報保護委員会などの所管官庁にご確認ください。本記事は四半期ごとを目安に見直します。
