顧問先2,000件超を支援する広島県の税理士事務所では、日計表の読み取りにAIを活用していました。一方で、読み取り後の転記や会計ソフトに合わせたデータ加工は手作業のまま。顧問先ごとに異なる帳票や処理ルールへの対応も課題でした。
Zeimeeは2026年7月からエンジニア2人が現場に入り、約1ヶ月にわたって職員の方々と業務を確認。日計表変換、仕訳チェック、相続税の取引履歴作成など、実務に合わせたツールを開発しました。
導入前の課題
AIの読み取り後も残っていた、転記とデータ加工
職員の方は、手書きの日計表をGeminiで読み取り、会計ソフトへの入力に活用していました。しかし、一括で取り込める形式になっておらず、一行ずつ確定する操作が必要でした。
会計ソフトへの取込には、顧問先ごとの勘定科目やコードの設定も必要です。AIの読み取り結果を出力するだけでは業務は完結せず、Excelでの加工や確認に手間がかかっていました。
また、AIの使い方や判断基準が個々の担当者に蓄積され、ほかの職員が同じ方法を再利用しにくい状況もありました。
導入・開発の進め方
実際の帳票を見ながら、担当者と処理の流れを設計
エンジニアが事務所内で開発し、職員の方に資料の受け取り方、入力方法、確認手順をヒアリング。実際のExcelやPDFをもとに、対象業務と必要な機能を整理しました。
例えば、当初「現金出納帳のチェック」と捉えていた相談は、詳しく確認すると、顧問先が入力した仕訳と提出証憑を照合する業務でした。処理の流れを一緒に確認することで、開発対象を実務に合わせて修正しました。
開発したツールは職員の方と試し、帳票ごとの例外や追加要望を反映。試用と改善を繰り返しながら、日々の業務で使う形に整えました。
導入したツールと業務の変化
日計表の転記を削減。CSV作成の5工程を1画面に集約
日計表変換:一行ずつの確定作業を省略
手書きの日計表を読み取り、会計ソフトに取り込める形式へ変換するツールを開発。職員が一行ずつ確定していた操作を省けるようにしました。
JDL向けCSV作成:Excelの5工程を集約
複数のExcel間でコピーと貼り付けを繰り返していた5工程を、1画面で扱える仕組みに変更。会計ソフトへ渡すデータの加工をまとめました。
仕訳チェック:証憑との照合を支援
顧問先が入力した仕訳帳とレシート画像を突き合わせ、月次で確認が必要な箇所を洗い出すツールを開発しました。
相続税取引履歴:複数口座の明細を一覧化
金融機関ごとの取引履歴PDFを読み取り、口座をまたいで日付順に整理したExcelを出力するツールを開発しました。
会計ソフト移行:仕訳帳の形式を変換
TKCの仕訳帳をマネーフォワードで読み込める形式へ変換するツールを開発し、ソフト間のデータ受け渡しを支援しました。
運用への定着
取込前の確認と、担当者の知識を共有する仕組みを整備
日計表変換では、画像の読み取りをAI、金額の検算をプログラムで処理。検算を通過したデータを取込形式にすることで、会計ソフトへ入れる前に確認できるようにしました。
また、顧問先ごとの判断基準や繰り返し使う修正内容を、ツールや処理ルールに反映。職員の方が自作していた資料せん集計ツールも共有する場所にまとめ、住所の自動入力を追加しました。
開発が進むにつれ、相続や月次チェックなど、別の担当者からも業務改善の相談が寄せられるようになりました。
今後の取り組み
確認が必要な業務を残しながら、自動化の範囲を広げる
紙の証憑の電子化や担当者による最終チェックは、引き続き人が担います。読み取りの誤りや、年に一度しか発生しない例外への対応も必要です。
現場で得た処理ルールを次の業務に活用しながら、共通化できる機能と事務所ごとに作り込む機能を整理し、改善を続けています。

