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税理士のAIガイドライン一覧【2026年10月時点】日税連・TKC・国の指針
2026年10月時点
AI指針を一覧で確認

日税連・TKC・国の指針
事務所が見るべき資料を整理運営元・掲載情報について
本記事は、会計士・税理士事務所向けのAI導入・開発支援「Zeimee」を提供する株式会社Zeimeeが執筆・運営しています。本文で触れているTKC全国会の方針は、株式会社TKCが2026年6月3日に公表したニュースリリースを2026年10月10日に確認した内容です。DeepSeek社のサービスについては、個人情報保護委員会事務局の情報提供の内容だけを紹介しています。他社サイトへのリンクは設けず、資料名と公表日を記載しています。
税理士のAIガイドラインは、日本税理士会連合会(日税連)、TKC全国会、国(内閣府・総務省・経済産業省・個人情報保護委員会)がそれぞれ公表しており、税理士事務所にとっては「どれを踏まえればよいのか」が分かりにくくなっています。
この記事では、2026年10月10日時点の指針を公表日・拘束力・公開範囲つきの一覧表にまとめ、踏まえる順番と対応チェックリストを示します。
- 押さえる資料は、法令(税理士法・個人情報保護法)、業界団体の会員向け指針(日税連・TKC全国会)、国のソフトロー(AI指針・AI事業者ガイドライン第1.2版など)、個人情報保護委員会の注意喚起・Q&Aに分かれます。
- 日税連は2026年9月30日付のお知らせで「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン」の策定を告知しました。本文は会員専用のため、本記事は内容を要約していません。
- 守る義務があるのは法令です。国のガイドラインは法的拘束力のないソフトローで、AI法にも罰則の規定はありません。
- 全事務所は税理士法・個人情報保護法と日税連ガイドライン原本を確認し、TKC会員はTKC全国会の方針も確認します。会計ソフトへの登録までAIに任せる場合は、AI事業者ガイドラインのAIエージェントの項目も参照します。AIをどこまで使うかや出力の扱いを人が判断し、記録する運用に落とし込みます。
2026年10月時点の税理士向けAIガイドライン・指針の一覧表
資料は拘束力に沿って整理します。税理士法と個人情報保護法は守る義務がある法律です。日税連やTKC全国会の指針は会員向けです。AI指針やAI事業者ガイドラインは自主的な取組を促すソフトローで、法的拘束力はありません。AI法も法律ですが、罰則の規定はありません。
| 名称 | 主体 | 公表・改訂日 | 対象 | 位置付け | 公開範囲 | 税理士事務所での扱い |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン | 日税連 デジタル・システム委員会 | 2026年9月30日策定告知 | 税理士会の会員 | 会員向け指針 | 会員専用 | すべての税理士が原本を確認 |
| 税理士事務所等の内部規律及び内部管理体制に関する指針 | 日税連 業務対策部 | 2015年4月策定、2023年3月改訂(2024年4月に犯収法関係を一部改訂) | 税理士事務所等 | 会員向け指針 | 説明ページは公開、本文は会員向け | 事務所の内部管理を確認 |
| AIの活用に関する基本方針および会計事務所における必要な対応 | TKC全国会 | 2026年6月3日 | TKC会員事務所 | 会員向けの自主ルール | 株式会社TKCのニュースリリースで公表 | TKC会員事務所が対応 |
| AI推進法(AI法、令和7年法律第53号) | 国 | 2025年9月1日全面施行 | 国・事業者・国民など | 法律(罰則の規定なし) | 公開 | AI活用の責務・国の施策を確認 |
| AI指針(人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針) | 人工知能戦略本部 | 2025年12月19日決定 | すべての主体 | 自主的な取組を促す指針 | 公開 | リスクに合わせて参考にする |
| 人工知能基本計画(第Ⅱ期) | 政府(閣議決定) | 2026年7月14日 | 国の施策 | 政府の計画 | 公開 | 政府の政策方向を知る資料 |
| AI事業者ガイドライン第1.2版 | 総務省・経済産業省 | 2026年3月31日 | AI開発者・提供者・利用者 | 非拘束的なソフトロー | 公開 | AI利用者の項目を参考にする |
| 生成AIの注意喚起、ガイドラインQ&A | 個人情報保護委員会 | 注意喚起は2023年6月2日 | 個人情報取扱事業者 | 現行法に基づく注意喚起・解釈 | 公開 | 現行法の解釈・注意点を確認 |
| 令和8年改正個人情報保護法 | 国 | 2026年7月17日公布(主要部分は未施行) | 個人情報取扱事業者など | 法律(原則、公布から2年以内に施行) | 公開 | 現行法と施行準備を分ける |
事務所ごとの読む順番はタイプ別の早見表と4段階の判断順序で確認できます。
日税連「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン」で確認できること
2026年9月30日に策定を告知、本文は会員専用
日本税理士会連合会(日税連)は2026年9月30日付のお知らせで「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン」の策定を告知しました。同会サイトではデジタル・システム委員会の資料として掲載されています。本記事は存在・資料名・告知日・公開範囲を紹介し、本文の内容は推測しません。
本文は会員認証が必要で、一般公開の範囲では概要文しか確認できないため、本記事は本文を要約・転載していません。税理士は登録時に所属税理士会の会員となるため(税理士法49条の6第1項)、すべての税理士が原本を確認する対象です。ログイン方法は所属税理士会に確認し、職員は所内の税理士を通じて確認してください。
出典のない要約は原本で確かめる
日税連ガイドラインの内容を出典なしで紹介する情報は、所内規程に反映する前に原本で確認してください。名称・公表日・版を照合し、告知前の古い説明を現行方針として扱わないようにします。
デジタル化FAQと内部規律指針
2026年6月3日、日税連は各税理士会・日税連税法データベースと連携して運営する会員向け「デジタル相談室」に寄せられた相談をもとに、「税理士事務所のデジタル化に係るFAQ」も作成しています(会員向け)。
AIに限らない土台が「税理士事務所等の内部規律及び内部管理体制に関する指針」(2015年4月策定、2023年3月改訂、2024年4月に犯収法関係を一部改訂)です。税理士法41条の2の監督義務を適切に果たすための指針で、モデル様式集には服務規則、テレワーク服務規程、使用人等雇用時の誓約書、「税理士事務所における情報管理チェックリスト」などがあります。本文は会員向けで、AIに関する記載の有無は確認していません。AIの利用ルールは、こうした規程や誓約書に追加すると運用に乗せやすいと考えられます(生成AI利用規程の作り方)。
TKC全国会「AIの活用に関する基本方針」(2026年6月3日)の要点
株式会社TKCは2026年6月3日、TKC全国会がTKC会員事務所を対象にAIサービス利用の「基本方針」を定め、「顧問契約への絶対的記載事項」にAIサービス利用の項目を加えたと公表しました。会員以外には適用されませんが、論点の整理に役立ちます。
基本的な考え方と3つの運用原則
法令遵守を最優先にしたうえで、業務効率化・品質向上のために積極的に活用するのが基本的な考え方です。重要な運用原則は次の3つです。
- 関与先の同意を得たうえで利用する
- 出力結果の正確性を確認し、最終判断は税理士が行う
- AIの利用状況を「見える化」する
TKC会員事務所の必須対応4項目
| 必須対応 | 内容 | TKCが挙げる根拠 |
|---|---|---|
| 1. 同意書の取得 | 関与先の情報をAIサービスに入力する場合、事前に同意書を取得する | 個人情報保護法27条1項 |
| 2. 通知書による通知 | 同意書の取得が難しい関与先に、AIサービスの利用目的等を通知する | 個人情報保護法27条2項(TKCの記載) |
| 3. 個人情報保護方針の改定 | AIサービスの利用を加える | — |
| 4. 顧問契約書の改定 | 顧問契約書を改定する | — |
背景の条文と、読むときの注意
制定の背景には、税理士法38条・54条(守秘義務違反のリスク)、41条の2(職員管理の不備)、個人情報保護法27条(第三者提供に該当する可能性)、28条(海外のAIサービスと国外移転の規制)が挙げられています。
非会員が通知書による対応を参考にする場合は、27条2項が本人の提供停止の求めへの対応、所定事項の通知等と個人情報保護委員会への届出を要件とするオプトアウトの規定で、要配慮個人情報等は対象外であることを確認します。「同意が取れなければ通知すれば足りる」と一般化せず、委託に伴う提供(27条5項1号)やクラウドの整理(後述のQ&A7-53)も含めて、専門家や個人情報保護委員会に確認しながら判断してください(AI利用に顧問先の同意は必要か)。
AI推進法(AI法)・AI指針・人工知能基本計画と税理士事務所
AI法は活用を推進する法律で、罰則の規定はない
正式名称は「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(令和7年法律第53号)で、AI推進法とも呼ばれます。2025年6月4日に公布・一部施行、9月1日に全面施行されました。罰則の規定はありません。
7条の「活用事業者」には、事業活動においてAIを活用しようとする者も含まれるため、業務でAIを使う事務所もこれにあたると読めます。責務は、積極的な活用による事業活動の効率化・高度化等に努めることと、国・地方公共団体の施策への協力です。3条4項は個人情報の漏えいなどへの懸念に触れ、16条は権利利益を侵害する事案の分析と指導・助言を定めています。
AI指針(2025年12月19日):最終判断は人間が行う
AI法13条(指針の整備)に基づいて人工知能戦略本部が決定したのが「人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針」(AI指針)です。すべての主体に自主的な取組を促し、規模・立場・リスクに応じた適切な水準での対応を求めています。考慮すべき要素の「人間中心」には、AIを活用する範囲や条件について人間自らが最終的な判断を行うことが含まれ、基本方針の一つはリスクベースのアプローチです。
人工知能基本計画は第Ⅱ期(2026年7月14日)が現行
第Ⅰ期は2025年12月23日、第Ⅱ期は2026年7月14日に閣議決定されました。第Ⅱ期はエージェント型AIの急速な伸びを踏まえ、責任の所在があいまいになるといった指摘に触れ、中堅・中小企業のAI導入支援も施策に含めています。事務所が従う手順を定めたものではありませんが、AIにどこまで任せるかを考える際の参考になります。
AI事業者ガイドライン第1.2版で税理士事務所(AI利用者)が見るべき箇所
第1.2版(2026年3月31日)の位置付け
総務省・経済産業省のAI事業者ガイドラインは、第1.0版(2024年4月19日)、第1.01版(同年11月22日)、第1.1版(2025年3月28日)を経て、2026年3月31日に第1.2版が公表されました。非拘束的なソフトローで、同日公表の「AI事業者ガイドライン活用の手引き(案)」も、義務を課すものではなく、事業規模や状況に合わせて過不足なく対応することが重要だとしています。
税理士事務所は「AI利用者」にあたる
対象は「AI開発者」「AI提供者」「AI利用者」で、AI利用者は「事業活動において、AIシステム又はAIサービスを利用する事業者」と定義されています。業務でAIを使う事務所はここにあたると考えられます。AIを組み込んだサービスを顧問先に提供する場合は、AI提供者の項目も関係します。
本編第5部(AI利用者)の重要事項
| 事項 | ガイドラインの内容 | 事務所での例(例えば) |
|---|---|---|
| U-2 安全を考慮した適正利用 | 提供者が想定した範囲で使い、出力の精度とリスクを理解して利用する | AIの仕訳候補を確認せずに会計ソフトへ登録しない |
| U-4 個人情報の不適切入力の防止 | 個人情報を不適切に入力しない | 個人情報を入力してよい業務を決めておく |
| U-5 機密情報の不適切入力の防止・安全対策 | 機密情報等を不適切に入力しない。提供者のセキュリティ上の留意点を守る | 顧問先の秘密の扱いを、規約と設定で確認する |
| U-6・U-7 情報提供・説明と利用上の遵守事項 | ステークホルダーへの情報提供・説明、問合せ窓口、提供文書の保管、規約の遵守 | 顧問先への説明内容と問合せ先を決める |
別添5の具体的な手法と、AIエージェントの記述
別添5は、利用過程のログ(操作履歴、入力・出力の記録等)の管理体制、重大な影響が出うる出力に人間の判断を挟む仕組み、不要なデータを削除するデータ最小化、適正に使われているかの定期的な確認などを具体的な手法に挙げています。
第1.2版ではAIエージェントが「特定の目標を達成するために、環境を感知し自律的に行動するAIシステム」と定義され、人間の意図しない注文やファイル削除などを行う可能性がリスクに挙げられました。令和7年度の更新では、人間の判断を挟む仕組みや最小権限の設定などの留意事項も加わっています。AIに会計ソフトへの登録まで任せるなら、権限と承認の設計を先に決めてください(会計ソフトとAIの連携方法)。
個人情報保護委員会の注意喚起と、現行法・令和8年改正法の書き分け
生成AIの注意喚起(2023年6月2日)
個人情報保護委員会(PPC)は個人情報取扱事業者に対し、①個人情報を含むプロンプトの入力が利用目的の達成に必要な範囲内かを確認すること、②本人の同意なく入力した個人データが応答の出力以外の目的で扱われると法違反となる可能性があるため、提供事業者が機械学習に利用しないことなどを確認することを求めています。
クラウド・海外サービスの整理(Q&A7-53・12-3など)
Q&A7-53は、提供事業者が個人データを取り扱わないことになっている場合(契約条項とアクセス制御で担保されている場合など)は「提供」にあたらず、本人同意も委託先の監督も不要としています。ただし、自らの安全管理措置は必要です(Q7-54)。外国の事業者のサーバでも同様に28条の提供にはあたりませんが、外国の制度等を把握したうえで安全管理措置を講じ、その措置を本人が知りうる状態に置く必要があります(Q&A12-3・10-25)。PPC事務局は、DeepSeek社のサービスについて、データが中華人民共和国のサーバに保存され同国の法令が適用される点を情報提供しています(2025年2月3日、3月5日更新)。
生成AIは事業者が入力内容を処理して応答を作るため、Q&A7-53の「取り扱わない」場合に当たるかは、規約・設定・契約とアクセス制御の実態から個別に判断します。
| ケース | 提供の整理 | 必要な対応 |
|---|---|---|
| 事業者が取り扱わない契約・アクセス制御 | Q&A7-53の条件を満たせば提供に当たらない | 自らの安全管理措置。外国制度も確認 |
| 利用目的の範囲で取扱いを委託 | 27条5項1号の委託 | 委託先監督。外国事業者なら28条の同意・例外も確認 |
| サービスの学習等に委託範囲外で利用 | 第三者提供の問題が生じ得る | 本人同意等の適法な根拠と利用目的を確認 |
現行法と令和8年改正法を分けて読む
確認日時点で適用されるのは現行法で、23条(安全管理措置)、24条(従業者の監督)、25条(委託先の監督)、26条(漏えい等の報告等)、27条(第三者提供の制限)、28条(外国にある第三者への提供の制限)が主な論点です。
令和8年改正法は2026年7月10日に成立し、7月17日に公布されましたが、主要な規定は公布から2年以内の政令で定める日に施行され、確認日時点では未施行です。罰則の引上げなどは2027年1月17日施行で、公布日施行の附則の一部と分けて確認します。政令・規則・ガイドラインも検討中です。委託を受けた事業者への規律の見直しなどの内容は個人情報保護法の令和8年改正と会計事務所のAI利用で解説しています。
公認会計士・他士業・国税庁などの関連資料(確認できた範囲)
| 資料 | 発行元・時期 | 事務所での使いどころ |
|---|---|---|
| 監査におけるAIの利用に関する研究文書(研究文書第11号) | 日本公認会計士協会、2024年8月13日 | 監査業務でAIを使う場合の検討材料 |
| 弁理士業務AI利活用ガイドライン | 日本弁理士会、2025年4月 | 他士業の例。生成物の正確性は弁理士が確認し、最終的に責任をもって提供するという整理 |
| 国税庁におけるAIの活用 | 国税庁、2026年7月 | 予測モデルの判定結果も最終的には職員が判断し、生成AIはセキュリティやハルシネーション(もっともらしい誤り)に留意するという姿勢 |
| AIと著作権に関する考え方について | 文化庁、2024年3月15日 | AIと著作権の関係を確認するとき |
| AIの利用・開発に関する契約チェックリスト | 経済産業省、2025年2月 | AIベンダーとの契約の確認(ベンダーに送る質問票) |
| DS-920 生成AIの調達・利活用に係るガイドライン | デジタル庁、2026年6月12日改定 | 政府情報システム向けのルールで、事務所が直接従うものではない |
日本公認会計士協会の資料は監査が中心です(会計事務所全般の指針は確認できませんでした)。
税理士事務所はどのAIガイドラインを踏まえるか:4段階の判断順序
上の段階を優先し、下の段階は上の段階を具体化するために使います。
第1段階:法令(守る義務がある)
税理士法38条・54条(守秘義務)、41条の2(使用人等の監督義務)と、個人情報保護法23条・25条・27条・28条が中心です。税理士法2条の3は、電磁的方法の積極的な利用等による納税義務者の利便の向上と業務の改善進歩に努めることを定めています(2022年4月1日施行)。入力してよい情報の判断は税理士の守秘義務と生成AIで整理しています。
第2段階:所属団体の会員向け指針
すべての税理士は、AI・クラウド活用ガイドラインと内部規律指針を原本で確認します。会員専用ページのログイン方法は所属税理士会に確認してください。TKC会員は、TKC全国会の基本方針と顧問契約の絶対的記載事項に沿って対応します。
第3段階:国のソフトロー
AI事業者ガイドラインのAI利用者の項目とチェックリスト(別添7)、AI指針の考え方を、事務所の規模や状況に合わせて取り入れます。
第4段階:所内規程に落とし込む
入力区分、確認者、記録、教育を所内規程にまとめ、顧問先向けのAI利用方針や契約時の資料にも必要な説明・問合せ先を示すことを検討します。ひな形は生成AI利用規程の作り方を参考にしてください。
事務所のタイプ別の早見表
| 事務所のタイプ | 法令に加えて確認する資料 | 注意点 |
|---|---|---|
| 税理士事務所(TKC会員以外) | 日税連のAI・クラウド活用ガイドライン(原本)、内部規律指針、AI事業者ガイドライン | TKCの方針は適用されないが、同意や顧問契約の論点整理に使える |
| TKC会員事務所 | 上記に加え、TKC全国会の基本方針と顧問契約の絶対的記載事項 | 通知書で対応する場合は、個人情報保護法の要件を別に確認する |
| 公認会計士事務所 | 日本公認会計士協会の研究文書(監査業務の場合)、AI事業者ガイドライン | 税理士業務も行う場合は、上の欄もあわせて確認する |
| AIを組み込んだサービスを顧問先に提供 | AI事業者ガイドラインのAI提供者の項目 | 顧問先への説明内容と問合せ窓口を用意する |
指針から逆算した税理士事務所のAI対応チェックリスト
各指針に共通する論点を、事務所で確認できる形にまとめました。まず1の棚卸し、3の入力区分、5の確認者から着手し、各項目に所内の担当者と期限を割り当ててください。
| 確認項目 | 確認すること | 関連する法令・指針 |
|---|---|---|
| 1. 利用中のAIの棚卸し | 個人アカウントでの利用も含め、使われているAIを把握した | TKC全国会の運用原則(見える化) |
| 2. 規約・学習利用・保存先 | 機械学習への利用の有無、保存先の国と適用される法令を確認した | PPC注意喚起、Q&A12-3 |
| 3. 入力してよい情報の区分 | 個人情報や顧問先の秘密を入力してよい業務・サービスを決めた | 税理士法38条、AI事業者GL U-4・U-5 |
| 4. 同意・契約・方針 | 同意の要否を整理し、顧問契約書と個人情報保護方針の見直しを検討した(同意書の見直し方) | 個人情報保護法27条・28条 |
| 5. 確認者と最終判断者 | 出力を誰がどこまで確認し、誰が最終判断するかを決めた | AI指針、TKC全国会の運用原則 |
| 6. ログ・処理記録 | 入力・出力・確認の記録を残し、保存期間を決めた | AI事業者GL 別添5 |
| 7. 会計ソフトへの反映前の承認 | AIに登録まで任せる場合の権限と承認の段階を決めた | AI事業者GL(AIエージェント、最小権限) |
| 8. 職員教育と誓約書 | 教育を行い、服務規程や誓約書にAI利用のルールを加えた | 税理士法41条の2、内部規律指針 |
| 9. 事故時の連絡 | 誤入力や漏えいの疑いがあるときの報告先と判断者を決めた | 個人情報保護法26条(報告等)・23条(安全管理) |
| 10. 顧問先への説明 | AI利用の説明内容と問合せ先を決めた | AI事業者GL U-6・U-7 |
| 11. 指針の更新確認 | 四半期ごとに更新を確認する担当者を決めた | AI事業者GL(改訂が続いている) |
入力区分や契約・設定の確認方法は会計事務所の生成AIセキュリティ対策で7項目に分けて解説しています。
業務の仕組みにAIを組み込む場合は、確認と承認の段階を最初から設計に含めておくと、5〜7の項目に対応しやすくなります。選択肢の一つとして、株式会社Zeimeeは会計士・税理士事務所向けにFDE(Forward Deployed Engineer)型のAI導入・開発支援を行い、AIが作成した候補を担当者が確認・修正・却下・承認する設計とし、Zeimee内の承認と会計ソフトへの反映を別の段階として扱います(セキュリティ方針、導入事例)。汎用チャットAIの利用ルールを整えることが目的なら、所内規程の整備から始めるほうが合っています。
よくある質問
日税連のAIガイドラインはどこで読めますか?
日税連の会員専用ページに掲載されており、一般に公開されている範囲では本文を確認できませんでした。税理士は登録時に所属税理士会の会員となります(49条の6第1項)。ログイン方法は所属税理士会に確認し、職員は所内の税理士を通じて原本を確認してください。
日税連のAIガイドラインは義務ですか?
税理士には所属税理士会と日税連の会則を守る義務があります(税理士法39条)。本ガイドラインと会則との関係は本記事では確認できていないため、原本と所属税理士会で確認してください。
AI事業者ガイドラインやAI法に違反すると罰則がありますか?
AI事業者ガイドラインは非拘束的なソフトローで、AI法にも罰則の規定はありません。一方、税理士法や個人情報保護法は守る義務のある法律で、AIの使い方によってはこれらの法律上の問題になり得ます。
TKC会員でなくても、顧問先の同意書は必要ですか?
TKC全国会の方針は会員向けで、非会員には適用されません。同意の要否は、入力先が個人データを取り扱うことになっているか(Q&A7-53)、委託にあたるか、外国の事業者か(28条)などで変わるため、専門家や個人情報保護委員会に確認しながら個別に判断してください(同意の考え方)。
令和8年改正個人情報保護法には、今すぐ対応が必要ですか?
2026年7月17日に公布されましたが、主要部分は確認日時点では未施行で、政令・規則・ガイドラインは整備中です。罰則強化は2027年1月17日施行です。当面は現行法に沿って対応し、改正内容は令和8年改正の解説で確認してください。
公認会計士事務所向けのAI指針はありますか?
日本公認会計士協会は監査におけるAIの利用に関する研究文書(2024年8月13日)などを公表していますが、会計事務所全般のAI利用ガイドラインは確認できませんでした。
指針はどのくらいの頻度で見直せばよいですか?
AI事業者ガイドラインは約2年で4つの版が公表されています。四半期ごとに更新の有無を確認するのが目安です。
まとめ
税理士事務所のAIガイドラインは、法令、所属団体の会員向け指針、国のソフトロー、個人情報保護委員会の注意喚起・Q&Aに分けると整理できます。踏まえる順番は「法令→所属団体の指針→国のソフトロー→所内規程」です。日税連のAI・クラウド活用ガイドラインは会員専用のため、出典のない要約に頼らず原本で確認してください。
AIをどこまで使うかや出力の扱いを人が判断し、確認の経過を把握できる運用にします。国税庁自身のAI活用でも、予測モデルの判定は最終的に職員が判断するとしています。次は税理士の守秘義務と生成AI、生成AI利用規程の作り方をあわせてお読みください。
参考資料
情報の確認日:2026年10月10日。別日の資料は個別に記載しています。
日税連のガイドラインは公表のお知らせのみ確認し、本文の内容は紹介していません。
主な出典
- AI・クラウド活用ガイドライン策定のお知らせ(日本税理士会連合会)
公表状況を確認。ガイドライン本文は未確認です。
- TKC全国会のAI活用基本方針(株式会社TKC)
会員事務所向け方針の公表内容。
- AI事業者ガイドライン 第1.2版(総務省・経済産業省)
AI利用者が確認する指針。
- 生成AIサービスの利用に関する注意喚起(個人情報保護委員会)
顧問先情報を入力する際の注意点。
出典の詳細を見る
法令や指針は改正・改訂されることがあるため、最新の内容をご確認ください。
法令(e-Gov法令検索)
- 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(令和7年法律第53号)(デジタル庁 e-Gov法令検索、2025年6月4日公布・2025年9月1日全面施行)
- 税理士法(38条・39条・49条の6等)(デジタル庁 e-Gov法令検索、2025年10月1日施行版)
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)(デジタル庁 e-Gov法令検索、2026年10月1日施行版)
内閣府
- 人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針(掲載ページ・各府省庁等のガイドライン等一覧)(内閣府(人工知能戦略本部)、2025年12月19日本部決定)
- 人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針(本文PDF)(内閣府(人工知能戦略本部)、2025年12月19日)
- 人工知能基本計画(掲載ページ)(内閣府、第Ⅱ期 2026年7月14日閣議決定・第Ⅰ期 2025年12月23日閣議決定)
- 人工知能基本計画(令和8年7月14日閣議決定)本文(内閣府、2026年7月14日)
総務省・経済産業省
- AIの利用・開発に関する契約チェックリスト(経済産業省、2025年2月18日公表・2月20日更新)
- 「AI事業者ガイドライン」掲載ページ(第1.2版)(総務省、2026年3月31日公表)
- AI事業者ガイドライン(第1.2版)本編(総務省・経済産業省、2026年3月31日)
- AI事業者ガイドライン(第1.2版)別添(総務省・経済産業省、2026年3月31日)
- AI事業者ガイドラインの令和7年度更新内容(資料2)(総務省・経済産業省、2026年3月12日(資料日付))
- AI事業者ガイドライン活用の手引き(案)(総務省・経済産業省、2026年3月31日)
個人情報保護委員会
- ガイドラインQ&A Q7-54(クラウド利用と安全管理)(個人情報保護委員会)
- ガイドラインQ&A Q10-25(外国制度を踏まえた安全管理措置の公表)(個人情報保護委員会)
- 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について(個人情報保護委員会、2023年6月2日)
- 「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A Q7-53(個人情報保護委員会)
- 「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A Q12-3(個人情報保護委員会、令和3年9月更新)
- DeepSeekに関する情報提供(個人情報保護委員会事務局、2025年2月3日(2025年3月5日更新))
- 令和8年 改正個人情報保護法について(個人情報保護委員会、2026年10月1日更新)
- 個人情報保護法等の一部を改正する法律について(個人情報保護委員会、2026年7月17日)
国税庁・文化庁・デジタル庁
- 国税庁におけるAIの活用(国税庁、2026年7月)
- AIと著作権(「AIと著作権に関する考え方について」掲載ページ)(文化庁、2024年3月15日取りまとめ)
- デジタル社会推進標準ガイドラインDS-920「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(デジタル庁、2025年5月27日初版・2026年6月12日改定)
業界団体
- 日本税理士会連合会「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドラインの策定について」(会員専用ページのお知らせ)(日本税理士会連合会、2026年9月30日告知(一覧の概要文のみ確認。会員専用のためリンクは設けていません))
- 日本税理士会連合会「税理士事務所のデジタル化に係るFAQの作成について」(会員専用ページのお知らせ)(日本税理士会連合会、2026年6月3日(一覧の概要文のみ確認。会員専用のためリンクは設けていません))
- 税理士事務所等の内部規律及び内部管理体制に関する指針(日本税理士会連合会、2023年3月23日掲載(指針本文・モデル様式は会員向け))
- 税理士法等の改正について(令和4年3月22日版)(東京税理士会、2022年3月22日)
- テクノロジー委員会研究文書第11号「監査におけるAIの利用に関する研究文書」の公表について(日本公認会計士協会、2024年8月13日)
- CAQ「生成AIの時代の監査」の翻訳公表について(日本公認会計士協会、2025年6月13日(翻訳資料は会員向け))
- 公認会計士業務とAI(日本公認会計士協会、更新日の表示は未確認)
- 弁理士業務AI利活用ガイドライン(日本弁理士会、2025年4月)
他社の公開情報(リンクは設けていません)
- 株式会社TKC ニュースリリース「<TKC全国会によるAI活用の基本方針>「AIの活用に関する基本方針および会計事務所における必要な対応」」(株式会社TKC、2026年6月3日)
この記事の編集方針・執筆者
Zeimee編集部は、会計事務所のAI導入・開発を支援する株式会社Zeimeeの編集部です。
本記事は、税理士事務所のAI利用に関わる法令・指針を、e-Gov法令検索、内閣府、総務省・経済産業省、個人情報保護委員会、国税庁、文化庁、デジタル庁の公表資料と、日本税理士会連合会・東京税理士会・日本公認会計士協会・日本弁理士会の公表資料といった一次情報を中心に調査して整理しています。TKC全国会の方針は、株式会社TKCのニュースリリースで確認しました。情報の確認日は2026年10月10日です。
日本税理士会連合会の「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン」は本文が会員専用のため、本記事では一般に閲覧できる概要文の範囲だけを記載し、内容の要約や転載はしていません。専門家の監修は受けていません。特定のAIサービスの実機検証は行っていません。法令の解釈や個別の事案への当てはめは、弁護士などの専門家や個人情報保護委員会などの所管官庁にご確認ください。令和8年の個人情報保護法改正の主要部分は確認日時点で未施行のため、現行法と書き分けています。指針の改訂に合わせて内容を見直します。
