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記帳代行・経理BPOのセキュリティ対策|委託元の確認項目とAI利用・再委託
委託元・受託側の確認に
記帳BPOの安全管理

AI利用と再委託を点検
端末・権限・返却まで整理運営元・掲載情報について
本記事は、記事内で紹介している「Zeimee」を提供する株式会社Zeimeeが執筆・運営しています。個人情報保護委員会が他社に対して行った行政上の対応は、同委員会の公表資料(2024年3月25日)をもとに記載しています。他社サービスへの外部リンクは設けていません。
記帳代行のセキュリティを確認するとき、証憑を渡してよい相手か、AIや在宅作業をどう管理するかを具体的に確かめる必要があります。この記事は、委託元(会計事務所・企業)と受託側(記帳代行会社・経理BPO・事務所の入力部門)の両方に向けて、確認項目と回答の書き方を整理します。
- 委託元には委託先の監督義務があり(個人情報保護法25条)、選定・契約・取扱状況の把握の3つをリスクに応じて講じる必要があります。契約に盛り込む内容や定期監査などの方法は「望ましい」とされています。
- まず再委託先、AIの学習設定、在宅作業、顧客ごとの区分と記録、漏えい時の第一報、終了時の返却・削除を確認します。受託側の回答例も併せて確認できます。
- マイナンバーを含む事務の再委託は、最初の委託者の許諾が要件です(番号法10条)。記帳業務では渡さない設計が確実です。
- 受託側は中小規模事業者の特例を使えない前提で、AIの学習利用・再委託・在宅作業・データ区分・削除の方法を回答書に具体的に書きます。
- Pマーク・ISMSは判断材料で、法令上の必須要件ではありません。
記帳代行・経理BPOのセキュリティは誰の責任か|委託の連鎖と法的義務
まず、データが誰から誰へ渡るかを確認します。例えば、顧問先の証憑を会計事務所が預かり、入力をBPO会社に出し、その会社が在宅ワーカーやAIサービスを使う場合は次のような連鎖になります。
| データの流れ | 委託元になる者 | 委託元が行うこと |
|---|---|---|
| 企業 → 記帳代行会社・経理BPO | 企業(直接委託) | 選定・契約・取扱状況の把握を行い、受け渡し経路と権限を管理する |
| 顧問先 → 会計事務所 | 顧問先 | 会計事務所を監督する。会計事務所には税理士法38条の守秘義務もある |
| 会計事務所 → BPO会社 | 会計事務所(顧問先から見ると再委託) | BPO会社を選定・監督し、顧問先に外部委託を説明する |
| BPO会社 → 在宅ワーカー | BPO会社(再々委託になり得る) | 再委託先を監督する。上位の委託元への報告・承認は契約に従う(通則GLでは望ましい)。マイナンバーを含む事務は最初の委託者の許諾が必要 |
| BPO会社 → AIサービス | BPO会社(委託に当たる場合) | 契約とアクセス制御の実態などで委託かを確認し、該当すれば監督する。該当しなくても自社の安全管理措置は必要 |
委託先の監督は「選定・契約・把握」の3つ
個人情報保護法25条は、個人データの取扱いを委託する事業者に必要かつ適切な監督を義務付けています。個人情報保護委員会の通則ガイドライン(以下、通則GL)は、選定・契約・把握の措置をリスクに応じて講じなければならないとしています。
| 要素 | ガイドラインの内容 | 義務と推奨の区別 |
|---|---|---|
| ① 委託先の選定 | 委託先の安全管理措置が委託業務に沿って確実に実施されることを、あらかじめ確認する | しなければならない(義務) |
| ② 委託契約の締結 | 安全管理措置の内容と、委託元が取扱状況を合理的に把握することを契約に盛り込む | 措置は義務(リスクに応じて)/契約に盛り込む内容は望ましい |
| ③ 取扱状況の把握 | 定期的な監査などで取扱状況を把握する | 把握は義務(リスクに応じて)/定期監査等による評価は望ましい |
書面の受領で終わらせず、規程と実際の取扱いが合っているかを確認します。
再委託とクラウドの扱いを確かめる
会計事務所が顧問先の入力作業をBPO会社に出すと、顧問先から見れば再委託です。個人データを扱う再委託先について事前報告や承認を行うことは通則GLでは望ましいとされ、具体的な手続は契約で定めます。マイナンバーを扱う事務は後述の許諾要件が別にあります。
AI・クラウドの利用が委託に当たるかは、提供事業者が個人データを取り扱うこととなっているかで判断します。管理者権限の有無だけで決めず、契約条項とアクセス制御、実際の取扱いを確認します。税理士の守秘義務と外部への入力の整理は守秘義務と生成AIの判断表をご覧ください。
受託側に適用される安全管理措置
通則GLの従業員100人以下の事業者向けの特例的な手法からは、委託を受けて個人データを取り扱う者が除かれます。番号法ガイドライン別添1も、委託に基づき個人番号関係事務等を業として行う事業者を除いています。小規模な記帳代行事務所でも、受託業務に必要な体制を個別に確認します。
委託元の確認項目と受託側の回答例
選定時と運用中に使う確認表です。回答例はすべて一般的な例で、実際の設定や契約に置き換えてください。法令上の義務と、その実施方法としての推奨・追加対策を分け、未対応の項目は対応予定と責任者を書きます。
| 確認項目 | 求める資料 | 受託側の回答例(例えば) | 根拠・位置づけ |
|---|---|---|---|
| 責任者・規程・教育 | 取扱規程、教育と点検の記録 | 責任者を定め、担当者に取扱規程を周知しています。直近の点検記録を添付します | 安全管理・従業者監督は義務(法23・24条)。実施方法はリスクに応じる |
| 受け渡しの経路 | 送付・受領の手順、共有設定 | 指定の共有先のみ使用し、宛先と権限を確認します。紙は受領記録を残します | 安全管理は義務。追跡・期限付き共有等は実施方法の例 |
| 委託先用アカウント | 利用者ID・権限の一覧 | 個別IDで入力に必要な権限だけを使用し、振込権限は持ちません | アクセス制御等は安全管理措置。具体的な権限設計は追加対策の例 |
| 再委託 | 相手方・業務・契約条項 | 再委託先と業務を一覧で報告し、変更前に契約所定の承認を受けます | 監督は義務。事前報告・承認は通則GLで推奨/番号事務は最初の委託者の許諾が要件 |
| AIの入力と学習設定 | 規約・設定画面・確認日 | 承認した契約・設定で使用します。学習利用の有無を確認し、入力は必要な項目に絞り、マイナンバーは入力しません | 利用目的・提供の要件は義務。PPC注意喚起で学習利用等の確認 |
| AI・クラウドの所在と保存 | 事業者・拠点・履歴の保存期間 | 事業者の所在、アクセス拠点、履歴の保存と削除方法を別紙に記載します | 外国への提供は法28条。外的環境の把握は通則GL10-7 |
| 在宅作業・端末 | 雇用区分、作業規程、端末台帳 | 許可した管理端末だけを使用し、私物端末への保存と無断印刷を認めません | 従業者監督・安全管理は義務。端末制限等は実施方法の例 |
| 顧客の区分と記録 | 権限一覧、匿名化した操作記録 | 顧客ごとに保存先と担当権限を分け、操作を記録します | 安全管理・委託範囲の遵守。記録対象と保存期間は業務に応じる |
| 漏えい時の第一報 | 窓口、初動手順、契約の期限 | 疑いを含めて契約所定の期限内に指定窓口へ連絡し、調査結果を追加報告します | 報告対象は法26条。第一報の期限は契約で具体化 |
| 返却・削除 | 終了手順、報告書の様式 | 返却データの受領確認後に削除し、対象・日時・方法・残存データを報告します | 不要データの消去は努力義務(法22条)。番号事務の契約・廃棄は番号法GL |
| 認証・評価 | 登録証と適用範囲 | 取得の有無と対象組織・業務を示します。対象外の業務は別に説明します | 任意。個別の監督に代わるものではない |
通則GLは、現地確認や口頭を含む合理的な確認方法を挙げています。データの量・種類に応じて方法を決めます。規程作成にはIPAのセキュリティ対策ガイドライン第4.0版の付録も参考になります。
第三者認証・評価制度の位置づけ
プライバシーマークとISMS認証は任意の認証です。登録証などで委託する組織・業務が適用範囲に含まれるかを確認します。SCS評価制度は段階ごとに評価方法が異なるため、一律に第三者認証として扱わず、開始状況と評価方式をIPAの最新情報で確かめます。認証や評価だけで個別の確認を省くことはできません。
委託元が管理する受け渡しとアカウント
送付先、配送の追跡・受領、共有リンクの宛先と期限、添付メールの可否を決めます。送る前に宛先・内容を確認し、誤送付・誤送信時の連絡窓口を一本化します。
会計ソフトや共有ストレージは、委託先専用の利用者IDと必要最小限の権限を用意します。委託元の管理者IDを共用せず、記帳だけを任せる場合は振込権限を渡さない設計にします。付与・変更・停止を管理台帳に記録し、契約終了時に停止できるようにします。
AIツールの提供事業者に送る質問票は会計事務所のAIツール選定セキュリティチェックシート、AI導入の進め方の比較は内製・外注・パッケージの選び方にまとめています。
記帳代行の委託契約・覚書に入れる条項と漏えい時の連絡
番号法ガイドライン(事業者編)は、マイナンバーを含む事務の委託契約に盛り込む事項を示しています。マイナンバーを扱わない記帳業務でも、条項設計の参考になります。
| 条項 | 番号法GLでの位置づけ(マイナンバーを扱う場合) | 記帳代行での書き方の例 |
|---|---|---|
| 秘密保持義務 | 盛り込まなければならない | 委託業務で知った情報を漏らさない(契約終了後も) |
| 事業所内からの持ち出し禁止 | 盛り込まなければならない | 在宅作業を認める場合はその条件を書く |
| 目的外利用の禁止 | 盛り込まなければならない | AIの学習、統計化、自社サービスの改善に使わない |
| 再委託の条件 | 盛り込まなければならない | 可否、許諾・報告の方法、再委託先にも同じ義務を課す |
| 漏えい時の委託先の責任 | 盛り込まなければならない | 第一報の期限、調査への協力、費用の負担 |
| 終了後の返却又は廃棄 | 盛り込まなければならない | 対象と期限、削除証明書の提出 |
| 従業者の監督・教育 | 盛り込まなければならない | 誓約書の取得、定期的な教育 |
| 遵守状況の報告 | 盛り込まなければならない | 定期報告の頻度と項目 |
| 取扱従業者の明確化 | 望ましい | 担当者の名簿の提出 |
| 実地の調査 | 望ましい | 委託元が作業場所を確認できる規定 |
通常の記帳では契約設計の参考にします。個人データは委託された範囲で扱い、自社用の統計への加工も範囲外なら行えません(Q&A7-38)。AIの学習・サービス改善への利用を条項で明確にします。
漏えい時の報告と委託先からの第一報
委員会への報告と本人への通知が必要なのは、要配慮個人情報、財産的被害のおそれ、不正の目的によるおそれ、本人の数が1,000人超の4類型です。委託時は原則として委託元・委託先の双方が報告義務を負い、委託先が委託元に通知すれば委託先は免除されます(法26条1項ただし書)。速報は概ね3〜5日以内、確報は30日以内(不正の目的は60日以内)が目安です。ランサムウェアによる暗号化や書類の盗難は不正の目的の例で、1,000人以下でも対象になり得ます。契約では、例えば「委託先は漏えい等を知ったときは○時間以内に委託元へ第一報を入れる」と期限を決めておきます。
経理BPO・記帳代行の生成AI利用と再委託|委託範囲・学習利用・海外サーバ
ツールの設定面の確認は生成AIのセキュリティで確認する7項目で解説しています。ここでは、受託側が委託元に何を説明し、何を約束するかに絞ります。
学習に使われないことを確認する
個人情報を入力する目的と、本人の同意なく個人データを入力する場合の学習利用等を確認します(PPC注意喚起、2023年6月2日)。AI事業者が再委託先に当たるかは契約・取扱いの実態を確認し、規約と設定を委託元へ示します。
顧客ごとの情報を混ぜない
複数の委託元のデータを区別せずに混ぜる取扱いは、個人情報保護委員会のQ&Aでは委託に当たらない例とされています。委託先への提供の例外が使えず、本人の同意のない第三者提供と扱われ得るため、A社の仕訳例をB社の作業に流用しない運用を決めます。
海外の事業者・作業拠点を確認する
外国にある第三者への提供は、委託であっても個人情報保護法28条の確認が必要です。外国の事業者が取り扱う場合は国内サーバでも該当し得るため、事業者の所在国、アクセスする拠点、必要な制度の把握と提供の根拠を確認します。
令和8年改正は現行法と分けて管理する
2026年7月17日公布の改正法は受託者による委託業務の範囲を超えた取扱いの制限などを新設しますが、2026年10月10日時点では未施行です。詳しい法的整理と施行状況は個人情報保護法の令和8年改正で確認してください。
再委託とマイナンバー|番号法10条の許諾
番号法10条は、個人番号関係事務の委託を受けた者は、委託をした者の許諾を得た場合に限り再委託できるとしています。番号法ガイドラインは、甲→乙→丙→丁と再々委託される場合も、許諾を得る相手は最初の委託者である甲だと説明しています。
例えば、顧問先から年末調整や法定調書の作成を受けた会計事務所が入力をBPO会社に出す場合は顧問先の許諾が必要で、BPO会社が在宅ワーカーに出す場合も許諾の相手は顧問先です。通常の記帳入力でマイナンバーを使わないなら、そもそも渡さない設計が確実です。
| 比較項目 | 個人情報保護法 | 番号法 |
|---|---|---|
| 再委託の要件 | 委託元への事前報告・承認が「望ましい」(通則GL) | 最初の委託者の許諾が要件(番号法10条) |
| 委託元の監督 | 監督が不十分なまま再委託先で問題が起きると、元の委託元の違反と判断され得る | 再委託先にも間接的に監督義務を負う(番号法11条) |
| 受託側の注意 | 契約に従い再委託の状況を報告する | 許諾を確認せずに再委託を受けて収集すると、違反と判断される可能性 |
許諾の取り方と管理の手法
原則として再委託時に許諾を求めます。契約時に相手が具体的に特定され、措置を講ずる能力が確認されている等の場合は、事前に得ることも可能です(番号法Q&A3-9)。許諾の対象・日付・相手と変更時の手続を記録します。
証憑に写り込んだマイナンバー
番号法20条は、法律で認められた場合を除き、特定個人情報の収集・保管を禁じています。記帳用の書類にマイナンバーが写っていれば、保管しない、事前のマスキングを依頼するといった運用を委託元と取り決めておくことが考えられます。
記帳代行の在宅オペレーター・作業場所・端末の管理
BPO会社に雇用される在宅勤務者は「従業者」で、個人情報保護法24条の監督の対象です(派遣社員なども含む)。一方、個人事業主の在宅ワーカーに業務委託する場合は再委託先になり得るため、上位の委託元への報告や、マイナンバーを含む場合の許諾が問題になります。委託元は在宅作業の有無だけでなく、在宅者が従業者か業務委託かまで確認します。
| 項目 | 確認の例 |
|---|---|
| 端末 | 許可した端末だけを使い、私物の端末で証憑を開かない |
| ウイルス対策・更新 | 定義ファイルとOSを最新にし、サポートが終了したOSを使わない |
| 画面 | のぞき見防止フィルタを使い、離席時は画面をロックする |
| 紛失・事故時 | 位置の検出などを設定し、対応手順と連絡先を共有する |
| 紙・複製(記事の補足) | 持ち帰り・印刷・USBメモリへの複製の可否と、返却・廃棄の方法を決める |
表は、総務省「中小企業等担当者向けテレワークセキュリティの手引き(チェックリスト)」第3版(令和4年5月)の項目から選んだものです。通則GLは、内部規程に違反した機器や記録媒体の持ち出しを放置して漏えいした例を挙げており、紙の証憑も持ち帰り・返却・廃棄の方法を決めて確認します。
会計事務所の職員が在宅で作業する場合
税理士法基本通達41の2-1は場所にかかわらず適切な監督を求め、ICTによる補助履歴の確認などを例示します。日税連の内部管理指針にもテレワーク関連様式の公開一覧があります(令和6年4月一部改訂、本文は会員向けで未確認)。
顧客ごとのデータ区分・権限・処理記録
顧客ごとにフォルダ・作業環境・権限を分けることは、委託の範囲を守る前提です(Q&A7-37)。通則GLの安全管理措置にも、取扱状況を確認する手段(10-3)とアクセス制御・識別と認証(10-6)が含まれます。設計の例は次のとおりです。
- 担当外の顧客のデータを開けないよう、置き場所と権限を分ける
- 誰が、いつ、どの顧客のデータに何をしたかを記録する
- AIに渡す情報を作業に必要な範囲に絞る
- AIの仕訳候補は担当者が確認・修正・却下・承認し、承認と会計ソフトへの反映を別に記録する
Zeimeeの公開方針でも、事務所・顧問先のデータ境界、入力情報の最小化、承認と反映の記録を示しています。回答書には各方針をどう実施するかを書きます。
記帳代行の契約終了時の返却・削除と確認方法
個人情報保護法22条は、不要になった個人データの遅滞なき消去を努力義務としています。番号法ガイドライン別添1は、削除・廃棄の作業を委託する場合、委託先が確実に削除・廃棄したことを証明書等で確認するとしています。また、マイナンバーを扱う委託契約には、終了後の返却又は廃棄を盛り込む必要があります。記帳データでも、契約に同じ考え方を取り入れると確認しやすくなります。
- 削除の対象:作業端末、共有ストレージ、メール・チャットの添付、バックアップ、AIサービスの会話履歴、在宅ワーカーの端末、紙の写し
- 削除証明書の項目:対象データ(顧客・期間・種類)、方法、実施日時、実施者と確認者、残すデータがあればその理由と期限
委託元はまず原本・帳簿データの返却を受け取り、保存が必要な資料を自社で開けることまで確認します。その後、委託先用アカウントと共有フォルダの権限を停止し、契約で定めた削除の報告・証明を受けます。保存義務のある資料を、返却確認前に消さないよう順序を決めます。
記帳代行の委託先を確認する手順
1. 委託の連鎖とデータを書き出す
委託元から在宅ワーカー・AIサービスまで、誰が何を扱うかを一覧にし、マイナンバーの有無を分けます。
2. 渡す資料を最小にする
記帳に不要な書類を外し、不要な氏名や番号をマスキングします。受け渡し経路と専用アカウントの権限を決めます。
3. 回答と根拠資料を受け取る
前掲の確認票で回答を受け、規程・設定画面・契約の該当箇所を突き合わせます。未対応項目は開始前に解消するか、代替措置を確認します。
4. 契約・覚書に反映する
作業範囲、再委託、AI利用、第一報、返却・削除を合意し、マイナンバーを扱う場合は許諾を確認します。
5. 運用中の変化を確認する
定期報告や必要に応じた監査で、作業者・再委託先・AIサービス・権限の変更を確かめます。入力の確認工程はAI-OCR導入後の品質管理も参照してください。
6. 返却を確認してから終了する
返却データを受領・検証し、権限を停止して、削除の報告を受けます。保管が残るものは理由と期限を確認します。
記帳代行の業務範囲の注意|税務相談・申告書作成との線引き
税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士業務であり、税理士等でない受託側が業として行わないよう業務範囲を分けます。入力作業と税務判断の分担は記帳代行の工程別の分担で整理しています。
よくある質問
記帳代行に会計ソフトやネットバンキングのIDを渡してよいですか?
記帳に必要な専用IDと最小限の権限を用意します。管理者IDやパスワードを共用せず、入力だけを任せる場合は振込権限を付けません。利用するサービスの権限設定と利用規約を確認してください。
通帳や証憑はどう送ればよいですか?
契約で認めた経路を使い、紙は送付先・追跡・受領確認、電子データは宛先・アクセス権限・共有期限を管理します。個人のメールや私用チャットへ送る運用を避け、誤送付時の連絡先を決めてください。
秘密保持契約(NDA)だけで十分ですか?
秘密保持の約束だけでは、端末・権限・再委託・AI利用・漏えい対応の実施状況までは分かりません。契約と併せて安全管理措置の資料と運用を確認し、変更があれば見直します。
海外拠点で作業する経理BPOを使えますか?
拠点の所在、作業者を雇用する法人、データへのアクセス、再委託の連鎖を確認します。外国にある第三者への提供に当たる場合は個人情報保護法28条の要件を別に確認し、外国の制度も把握します。個別の整理は専門家に確認してください。
委託先の確認はどのくらいの頻度で行いますか?
一律の間隔を決めるより、データの量・種類とリスクに応じて定期確認を計画します。再委託先、AIサービス、作業場所や権限の変更、事故の発生時には予定を待たず追加確認する運用が考えられます。
企業が税理士事務所へ記帳を任せる場合も確認が必要ですか?
個人データの取扱いを委託するなら、企業も委託元として必要かつ適切な監督を行います。税理士の守秘義務があることを理由に、選定・契約・取扱状況の把握を省略できるわけではありません。
会計事務所が入力を外注するとき、顧問先の同意は必要ですか?
個人情報保護法上、利用目的の達成に必要な範囲の委託に伴う提供は第三者提供に当たらず、本人の同意は不要です(27条5項1号)。別途、税理士の守秘義務の観点から顧問契約などで外部委託の範囲を明示し、許諾を確認する運用が安全と考えられます。マイナンバーを含む事務の再委託は、最初の委託者の許諾が要件です。
まとめ
- 委託元:選定・契約・取扱状況の把握は、リスクに応じて講じる必要がある措置。再委託・AI・在宅作業まで確認し、受け渡しとアカウントも管理する。
- 受託側:中小規模事業者の特例は使えない前提で、AI利用・再委託・在宅作業・データ区分・削除を回答書に具体的に書く。
- マイナンバーの再委託は最初の委託者の許諾が要件。記帳業務では渡さない設計が確実。
まずは自社の委託の連鎖を表に書き出し、チェックリストで答えられない項目から埋めてください。
参考資料
情報の確認日:2026年10月10日。別日の資料は個別に記載しています。
令和8年法律第56号による改正は、未施行の内容として区別しています。
主な出典
- 個人情報保護法ガイドライン(通則編)(個人情報保護委員会)
委託先の選定・契約・監督
- 特定個人情報ガイドライン(事業者編)(個人情報保護委員会)
マイナンバーと再委託の管理
- 税理士制度のQ&A:税理士法違反行為(国税庁)
記帳代行と税務業務の線引き
- テレワークにおけるセキュリティ確保(総務省)
在宅作業の場所・端末・情報の管理
出典の詳細を見る
- 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)(e-Gov法令検索(デジタル庁)、現行版および令和8年法律第56号による改正後の未施行版)
- 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(e-Gov法令検索(デジタル庁)、現行版)
- 税理士法(昭和26年法律第237号)(e-Gov法令検索(デジタル庁)、現行版)
- 公認会計士法(昭和23年法律第103号)(e-Gov法令検索(デジタル庁)、現行版)
- 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)(個人情報保護委員会、令和8年6月一部改正)
- 「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A(個人情報保護委員会、令和7年7月1日版(ページ表記))
- 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等(個人情報保護委員会、2023年6月2日)
- 株式会社エムケイシステムに対する個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応について(個人情報保護委員会、2024年3月25日)
- 個人情報保護法等の一部を改正する法律について(個人情報保護委員会事務局、2026年7月)
- 特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)(個人情報保護委員会、令和7年6月一部改正)
- 特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)に関するQ&A Q3-9(個人情報保護委員会、ページの更新日表記は未確認)
- 特定個人情報等のデータ入力業務の委託先に対する監督について(個人情報保護委員会事務局、令和4年4月)
- 税理士法基本通達(国税庁、令和7年6月1日現在)
- 税理士制度のQ&A 6 税理士法違反行為(問6-1・問6-2)(国税庁、ページの更新日表記は未確認)
- テレワークにおけるセキュリティ確保(テレワークセキュリティガイドライン第5版、中小企業等担当者向けテレワークセキュリティの手引き(チェックリスト)第3版)(総務省、ガイドライン第5版 令和3年5月・手引き第3版 令和4年5月)
- 中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)、第4.0版 2026年3月27日公開)
- 情報セキュリティ10大脅威 2026(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)、2026年1月29日公開・2026年5月21日最終更新)
- SCS評価制度の詳細情報(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)、2026年5月29日最終更新)
- 税理士事務所等の内部規律及び内部管理体制に関する指針(日本税理士会連合会、令和5年3月改訂、令和6年4月一部改訂(本文・様式は会員向け))
- 会員向けお知らせ一覧(税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドラインの策定について)(日本税理士会連合会、2026年9月30日掲載(本文は会員専用で未確認))
- プライバシーマーク制度 制度の概要と目的(一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC))
- ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)とは(一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC))
他社サービスへの外部リンクは設けていません。
この記事の編集方針・執筆者
Zeimee編集部は、会計事務所のAI導入・開発を支援する株式会社Zeimeeの編集部です。
本記事は、個人情報保護法・番号法・税理士法・公認会計士法(e-Gov法令検索)と、個人情報保護委員会のガイドライン・Q&A・公表資料、国税庁、総務省、IPA、日本税理士会連合会などの一次情報を中心に、2026年10月10日に確認した内容をもとに作成しています。令和8年法律第56号による個人情報保護法の改正は未施行のため、現行法と改正後を分けて記載しています。
特定の記帳代行・経理BPOサービスやAIサービスの実機検証は行っていません。チェックリスト、契約条項、回答書の例は一般的な例で、特定の企業の実績ではありません。記帳の外注の割合や委託先での漏えい件数などの統計は、一次情報で確認できなかったため記載していません。日本税理士会連合会の内部規律の指針とAI・クラウド活用ガイドラインは本文が会員専用のため、具体的な記載内容は確認していません。個別の判断は、弁護士・税理士などの専門家や、個人情報保護委員会などの所管官庁にご確認ください。
