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年末調整でAIを使える工程・使えない工程【令和8年分】マイナンバー対策つき

令和8年分・会計事務所向け

年末調整にAIを使う

使える工程と人の判断

控除証明書と番号の扱い
運営元・掲載情報について

本記事は、記事内で紹介している「Zeimee」を提供する株式会社Zeimeeが執筆・運営しています。他社のAI-OCR製品は、2026年10月10日時点の各社公式情報で確認できた対応帳票を例として記載したもので、製品の優劣を比較・評価するものではありません。外部への誘導リンクは設けていません。機能や提供条件は変更される場合があるため、利用前に提供会社へ最新情報をご確認ください。

11月から翌1月の繁忙期を前に、顧問先分の申告書や控除証明書の回収・確認・入力を、AIでどこまで減らせるでしょうか。扶養控除等申告書にはマイナンバーや扶養親族の情報が載るため、AIサービスに読み込ませてよいのかも気になるところです。

この記事では、顧問先の年末調整を受託する会計事務所の立場から、令和8年分の工程ごとにAIを使える範囲と人が判断する範囲を整理し、マイナンバーの扱い(再委託の許諾、記載の省略、マスキング、漏えい時の報告)を解説します。

この記事の結論
  • AIで補助しやすいのは転記と文書の下書きです。原本との照合、控除の判定、年税額の確定は残るため、確認時間も含めて計画します。
  • 扶養親族の要件、住宅借入金等特別控除の適用、過不足額の確定は人が判断します。令和8年分の改正点もAIに答えさせず、国税庁の資料で確認します。
  • 事務所は顧問先から個人番号関係事務を受託する立場です。番号付きのデータをAIサービスに渡すと再委託に当たる可能性があり、その場合は顧問先の許諾が必要です(番号法10条)。番号を渡さない設計を基本にします。
  • AIに渡すのは番号を復元できない程度に消した写しに限り、扶養控除等申告書の原本はマスキングせずに保存します。

年末調整の工程とAIの使いどころの早見表

国税庁の「年末調整のしかた」の手順(申告書の受理と確認、集計、年税額の計算、過不足額の精算)に、受託する事務所の案内・回収と源泉徴収票等の作成を加えると、次の6工程になります。

年末調整の工程別 AIの使いどころとマイナンバーの有無表は左右にスクロールできます。
工程時期の目安AIの使いどころ人が判断することマイナンバー
案内・回収10〜11月案内文・催促文の下書き、回収状況の一覧化案内に載せる数値・期限の確定と送付扶養控除等申告書・兼用様式は番号あり
不備チェック11〜12月前年データとの差分から記載漏れ・添付漏れの候補を出す差し戻すか、何を確認するか番号の列を除いたデータで比較する
データ化11〜12月控除証明書・保険料控除申告書の読み取り原本との照合、修正・却下・承認保険料控除申告書等は提出者等の番号不要
控除の判定12月判定に使う情報(前年の区分・年齢など)の整理扶養親族等の要件、住宅借入金等特別控除の適用源泉徴収簿には記載不要
年税額計算・過不足精算12月(最後の給与)集計値の突合など検算の補助年税額・過不足額の確定、やり直しの判断源泉徴収簿には記載不要
源泉徴収票・給与支払報告書翌1月(法定調書の提出期限は令和9年2月1日)合計の突合、提出先一覧・送付状の下書き提出内容の確定と提出給与支払報告書・税務署提出用は記載、受給者交付用は記載しない

時期は目安です。業務全体で見たAIの使いどころは税理士・会計事務所のAI活用|12業務の早見表で整理しています。

年末調整でAIが向く工程:読み取り・記載漏れ候補の抽出・案内文

AIが向くのは、件数が多く、結果を原本や前年データと照らし合わせて確かめられる工程です。出力は候補として扱います。

控除証明書・保険料控除申告書の読み取り

保険料控除申告書と住宅借入金等特別控除申告書は、平成28年4月1日以後の提出分から提出者等の個人番号の記載が不要です。こうした番号欄のない書類から始め、読み取った金額、新旧の区分、一般・介護医療・個人年金の区分、名義を担当者が照合します。国税庁の年末調整チェック表には、旧生命保険料は1契約9,000円を超えるもの、それ以外の保険料はすべての契約について証明書類が添付されているかを確かめる項目があります。

前年データとの比較で記載漏れの候補を出す

例えば、次のような差分を候補として出します。控除を受けられるかの判定はさせず、前年データからは個人番号の列を除いておきます。

  • 前年にあった保険の控除証明書が今年は添付されていない
  • 扶養親族に、年齢による区分が変わる年齢(16歳・19歳・23歳・70歳など)の人がいる
  • 保険料控除申告書の「年齢23歳未満の扶養親族」欄が空欄だが、該当しそうな親族(平成16年1月2日以後生まれ)がいる

回収状況の管理と催促文

顧問先別に、書類の種類・対象者の匿名ID・提出状況・不足事項・提出期限を一覧にします。受付状況はフォームや台帳で記録し、AIには未着一覧の要約や催促文の下書きを任せます。実際に未着か、別の経路で届いていないかを担当者が確かめてから送ります。従業員への送付先や氏名は、AIの出力の外で差し込みます。

従業員からの質問への回答の下書き

必要書類や提出期限といった案内は、事務所で確認した判定表・手順書を根拠にして下書きできます。指示には「資料に書かれていないことは回答せず、担当者への確認事項にする」と加えます。扶養親族や住宅ローン控除の個別判定は税理士・担当者が行い、AIの回答をそのまま送らない運用にします。制度の数値をAIの知識から補わせないことが要点です。

給与ソフトの取込形式への変換

読み取り結果を給与ソフトへ取り込む場合は、元の項目と取込先の列の対応を人が決めます。従業員コード、保険区分、金額、空欄の扱いを定め、変換は同じルールで再実行できるプログラムにします。取込前後の対象者数と金額合計を照合し、不一致があれば取り込みを止めます。設計の例は仕訳インポート形式への変換手順、確認体制は記帳代行の品質管理も参考になります。

案内文の下書き

案内文や催促文は生成AIで下書きしやすい文書です。個人名や金額は入れずに依頼します。

プロンプトの例(個人情報を入れない)

「従業員向けに、令和8年分の年末調整で提出する書類と期限の案内文を作ってください。会社名は【会社名】、期限は【提出期限】とし、控除額などの数値は書かずに【判定表から転記】と表示してください。」

読み取りと検算を分け、取込前に担当者が確認する

1. 仕分ける

書類を、個人番号を含むものと含まないものに分けます。

2. 読み取る

番号を含まない書類か、番号を消した写しだけを渡します。

3. 担当者が確認する

結果を画像と並べ、修正・却下・承認を記録します。

4. 検算してから取り込む

承認分の合計を証明書と突き合わせ、一致したものだけ取り込みます。

年末調整で人が判断する工程:扶養親族の要件・住宅ローン控除・過不足額の確定

扶養親族等の要件

扶養親族等に当たるかは年末調整を行う日の現況で判定し、合計所得金額は見積額で、年齢は12月31日の現況で判断します。非課税所得は含めません。国税庁の年末調整Q&A(問4)は、パート収入124万円と遺族年金80万円の母親について、遺族年金を除いた50万円(124万円−給与所得控除74万円)で判定し、扶養親族に該当するとしています。別居親族の生計一、国外居住親族の親族関係書類・送金関係書類、特定扶養親族と特定親族の区別も人が判断します。

住宅借入金等特別控除

最初の年分は確定申告で適用を受ける必要があり、2年目以降の年分は年末調整で適用できます。添付書類は調書方式(税務署長発行の控除証明書)と証明書方式(控除証明書と金融機関の年末残高等証明書)で異なります。初年度の確定申告は確定申告の資料整理と入力にAIを使うで扱っています。

過不足額の精算とやり直し

年税額と過不足額は、すべての判定が終わってから確定します。年末調整の後でも12月31日の現況で控除対象扶養親族に当たる人がいれば、異動申告書の提出を受けて翌年1月の源泉徴収票の交付時まで再計算できます(同Q&A問10)。

最終確認者と業務の分担

判定と確定は税理士と担当者が担います。日本税理士会連合会は平成14年度事業活動概況で、全国社会保険労務士会連合会との確認書(平成14年6月6日)により、年末調整事務は税理士業務に該当し社会保険労務士は行えないことを明確にしたと報告しています。団体間の確認で法令や判決ではないため、BPO事業者などとの分担は所属税理士会などの専門家に確認してください。

令和8年分の年末調整の変更点はAIに聞かず国税庁資料で確認する

生成AIは前年の数値を返すおそれがあるため、令和8年分の変更点は国税庁の一次資料から確認します。国税庁の「年末調整がよくわかるページ(令和8年分)」は、令和8年分の注意点として、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正、23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例の創設の4つを挙げています(2026年10月10日確認)。主な数値は次のとおりです。

令和8年分の主な改正数値(国税庁「年末調整のしかた」より)表は左右にスクロールできます。
項目改正前令和8年分(改正後)
基礎控除(合計所得金額489万円以下)95万・88万・68万円(所得に応じて3段階)104万円
基礎控除(489万円超655万円以下)63万円67万円
基礎控除(655万円超2,350万円以下)58万円62万円
給与所得控除の最低保障額65万円74万円
扶養親族・同一生計配偶者などの所得要件58万円以下(給与収入のみなら123万円以下)62万円以下(同136万円以下)
特定親族の所得要件58万円超123万円以下62万円超123万円以下
勤労学生の所得要件85万円以下89万円以下
一般生命保険料控除の限度額(23歳未満の扶養親族がいる場合)4万円6万円(3区分の合計限度額12万円は変わらない)

基礎控除の上乗せ額と給与所得控除の最低保障額74万円は令和8・9年分の特例を含む金額です。令和10年分以後は基礎控除の一部が変わり、最低保障額は69万円になります。給与収入への換算も令和8・9年分の金額として読んでください。

施行は令和8年12月1日。11月中の年末調整には改正後の控除が適用されない

令和8年度税制改正による基礎控除の引上げ等は原則として令和8年12月1日に施行され、12月以後の源泉徴収事務から変わります。

  • 12月1日前でも改正後の書類を回収してかまいません(国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」、以下「改正Q&A」、Q1-2)。
  • 居住者として最後の給与の支払を受けた日が11月30日以前の人の年末調整には改正後の基礎控除や所得要件等が適用されません。改正後の控除等の適用を受けるには、従業員が確定申告等をする必要があります(改正Q&A Q1-3)。
  • 令和8年分の「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」(以下、兼用様式)は前年分から変わっており、12月1日以後の年末調整で使います。
  • 新たに所得要件を満たす親族がいれば、扶養控除等(異動)申告書等の提出が必要です。

よくある誤り:特定親族特別控除は令和8年分の新設ではない

特定親族特別控除は令和7年度税制改正で創設され、令和7年分から適用されています。令和8年分で変わったのは所得要件(62万円超)です。23歳未満の扶養親族がいる場合の生命保険料控除の特例は令和7年度改正で令和8年分の措置として創設され、令和8年度改正で令和9年分まで延長されました。

改正点はAIに答えさせず、事務所の判定表にする

生成AIは学習した時点の情報で答えるため、前年の金額(所得要件の58万円など)を返すおそれがあります。e-Gov法令検索でも、2026年10月10日時点の施行中の条文と、令和8年分への適用を分けて確認する必要があります。所得要件は所得税法2条、基礎控除は86条などで定められています。改正後の条文は12月1日施行版を確認し、年分への適用は国税庁の改正Q&Aと照らし合わせます。

1. 変わった点を読む

国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の「昨年と比べて変わった点」で、改正項目と数値を確認します。

2. チェック表で確認項目を拾う

「令和8年分 年末調整チェック表」から、所得要件や特定親族の判定などの項目を拾います。

3. 判定表を更新する

事務所の判定表に転記し、出典と確認日を書き込みます。

4. 案内に反映する

案内文をAIで下書きする場合も、数値は判定表から人が入れます。

控除証明書の電子データとAI-OCRの使い分け

電子データで受け取れる分は年調ソフトで取り込む

従業員が保険会社などから控除証明書等を電子データで受け取り、国税庁の年調ソフトに取り込むと、申告書への転記と控除額の計算が自動で行われます。勤務先は控除額の検算が不要になりますが、給与システム等が申告書データの取込みに対応している必要があります。令和8年分の年調ソフト(正式版)は令和8年10月1日に公開されました。AI-OCRの前に、顧問先の給与システムの対応を確認します。

紙で届く分はAI-OCRで補う(製品の例)

公式情報で確認できた対応帳票の例です(2026年10月10日確認。比較・評価ではありません)。

  • 日本デジタル研究所(JDL)「AI-OCR年末調整入力システム」:賃金台帳、給与明細書、生命保険料・地震保険料・社会保険料(国民年金保険料等)・小規模企業共済等掛金の控除証明書。扶養控除等申告書の読み取りは公式ページで確認できませんでした。
  • ミロク情報サービス(MJS):2025年9月17日に、「ACELINK NX-Pro 給与計算・年末調整」などが賃金台帳、源泉徴収票、生命保険料・地震保険料の控除証明書のAI-OCR入力に対応したと発表しています。
  • マネーフォワード クラウド年末調整「AI自動入力」:β版で、対象は生命保険料控除証明書のみです。

様式の変更とベンダーへの確認

令和8年分は兼用様式が変わったため、読み取りの設定やAIへの指示が前年の様式を前提にしていないか確認します。ベンダーには、処理場所(外国か)、学習利用、再委託先、番号欄の読み取り・保存、削除方法を確認します。詳しくは会計事務所の生成AIセキュリティ対策で解説しています。

マイナンバーはAIに渡さない:委託・再委託の許諾と記載省略・マスキング

番号付きのデータをAIに渡すと顧問先の許諾が必要な再委託に当たる可能性があるため、番号を渡さない処理ルートを先に決めます。許諾の整理はAI利用に顧問先の同意は必要?を参照してください。

顧問先から見ると、事務所は個人番号関係事務の委託先

源泉徴収票など個人番号を記載した書面を提出する事務(個人番号関係事務)では、その委託を受けた者も必要な限度で個人番号を利用できます(番号法9条4項)。委託を受けた者も「個人番号関係事務実施者」に当たり(同法2条14項)、漏えい防止などの措置を講じる義務を負います(同法12条)。顧問先には委託先の監督義務があります(同法11条)。

AIサービスへの入力が再委託に当たる場合

委託を受けた者は、委託者の許諾を得た場合に限り再委託できます(番号法10条1項)。個人情報保護委員会のガイドライン(事業者編)は、源泉徴収票作成事務の例で許諾を得る相手は最初の委託者だと示し、許諾のない再委託は19条(提供制限)違反、再委託先も15条・20条違反と判断される可能性があるとしています。

同委員会のFAQ(Q3-12)は、クラウドサービスについて、事業者が個人番号を含むデータを取り扱わない旨が契約で定められ、適切にアクセス制御されている場合などは委託に当たらないとしています。入力内容を処理する生成AIやAI-OCRがこれに当てはまるかは慎重に確認する必要があると考えられ、迷う場合は番号付きのデータを渡さない設計にします。BPOや再委託の論点は記帳代行・経理BPOのセキュリティ対策で整理しています。

マイナンバーを含む書類・含まない書類

年末調整の書類とマイナンバーの記載(国税庁FAQ・法定調書の手引より)表は左右にスクロールできます。
書類マイナンバーの記載AIに渡すときの扱い
扶養控除等(異動)申告書本人・源泉控除対象親族等の番号を記載(一定の帳簿があれば省略可)AIには番号を消した写しのみ
兼用様式配偶者控除等申告書は配偶者、特定親族特別控除申告書は特定親族、所得金額調整控除申告書は扶養親族などの番号を記載(一定の帳簿があれば省略可:所得税法198条4項)同上
保険料控除申告書・住宅借入金等特別控除申告書提出者等の番号は不要(平成28年4月1日以後提出分)読み取りの対象にしやすい
源泉徴収簿記載不要検算の補助に使いやすい
源泉徴収票(受給者交付用)記載しない突合に使える
給与支払報告書(税務署提出用の源泉徴収票はみなし提出の特例)受給者等の番号を記載。令和8年分は給与支払報告書を提出すれば、税務署提出用の源泉徴収票は原則として別途作成不要AIに入れない

記載の省略とマスキングの使い分け

給与の支払者が、本人・控除対象となる配偶者・扶養親族等の氏名、住所、個人番号などを記載した一定の帳簿を備えていれば、扶養控除等申告書への個人番号の記載を省略できます(所得税法198条4項、国税庁FAQ Q1-3-2)。前年と同じという理由だけでは省略できません(同Q1-4)。

個人番号部分を復元できない程度にマスキング・削除すれば、その情報は個人情報保護法上の個人情報として扱われます(個人情報保護委員会Q&A A2-4・A5-9)。AIに渡すのはこの写しに限ります。一方、扶養控除等申告書は原本の保存が必要で、マスキングして保存することはできません(国税庁FAQ Q1-17)。保存期間は、提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年です(同Q1-16)。

写しも個人情報なので、個人情報保護委員会の注意喚起(2023年6月2日)に沿って、利用目的の範囲内か、提供事業者が機械学習に利用しないかを確認します。守秘義務との関係は税理士の守秘義務と生成AIを参照してください。

中小規模事業者の特例は受託する事務所には使えない

従業員100人以下の中小規模事業者向けの安全管理措置の特例は、委託に基づいて個人番号関係事務を業として行う事業者には適用されません(同ガイドライン別添1)。外国で特定個人情報を扱う場合は、その国の制度等を把握したうえで措置を講じる必要があります。

漏えい等が起きたときの報告:特定個人情報は個人情報保護法とは別の基準

年末調整のデータが漏えいした場合、マイナンバーを含むかどうかで報告の基準が変わります。

漏えい等の報告対象の比較(個人情報保護委員会のガイドライン・e-Gov法令検索より)表は左右にスクロールできます。
比較項目特定個人情報(番号法)個人データ(個人情報保護法)
根拠番号法29条の4、委員会規則個人情報保護法26条、同法施行規則7条
報告対象となる事態情報提供ネットワークシステム等に記録された特定個人情報の漏えい等、不正の目的によるもの、電磁的方法で不特定多数に閲覧された(おそれのある)事態、本人の数が100人超要配慮個人情報、財産的被害のおそれ、不正の目的によるおそれ、本人の数が1,000人超
報告フォームマイナンバー用(含まれるか不明な場合も)マイナンバーを含まない場合のフォーム

特定個人情報は、知った時点から概ね3〜5日以内に速報、30日以内(不正の目的による場合は60日以内)に確報を出します。委託元・委託先の双方に報告義務があり、委託先は委託元に通知すれば免除されます。障害者控除に関わる情報は要配慮個人情報(個人情報保護法施行令2条1号の心身の機能の障害)に当たる可能性があり、その場合は番号を消した写しでも人数にかかわらず報告対象になり得ます。

許諾のない再委託による提供(番号法19条違反)も、本人の数が100人を超える場合は報告対象になるため、漏えい以外の提供も確認します。

令和8年法律第56号による番号法・個人情報保護法の改正には未施行部分があります(罰則の一部は2027年1月17日施行、本体は公布日から2年以内に政令で定める日に施行。e-Gov法令検索の未施行版を2026年10月10日確認)。改正の内容は個人情報保護法の令和8年改正と会計事務所のAI利用で解説しています。

源泉徴収票・給与支払報告書・法定調書の工程でのAIの使いどころ

年末調整分の源泉所得税の納期限は令和9年1月12日(納期の特例は1月20日)、令和8年分の法定調書の提出期限は令和9年2月1日です。令和9年1月1日以後は、市区町村に給与支払報告書を提出すれば、税務署に源泉徴収票を提出したものとみなされます(みなし提出の特例。受給者への交付は必要)。令和9年1月以降の法定調書は、前々年の提出枚数が30枚以上ならe-Tax等での提出が必要です(令和8年12月までは100枚以上)。給与支払報告書も、基準年の源泉徴収票が30枚以上ならeLTAX等で提出します。

AIの使いどころは、合計の突合、市区町村別の提出先一覧、送付状の下書きです。番号を含むデータはAIに入れません。

年末調整の繁忙期前(10月中)のチェックリスト

年末調整の繁忙期前に確認する9項目表は左右にスクロールできます。
確認項目確認すること参照先
1. 改正点令和8年分の改正点を確認し、判定表を更新したか国税庁「年末調整のしかた」「チェック表」
2. 最後の給与の支給日顧問先ごとに把握したか(11月30日以前なら改正後の基礎控除等は適用されない)改正Q&A Q1-3
3. 様式と電子データ令和8年分の様式か。年調ソフトの申告書データを給与システムで取り込めるか国税庁の様式ページ・年調ソフトの案内
4. AIツールの契約学習利用、処理場所、再委託先、削除方法利用規約・契約書
5. 再委託の許諾顧問先との委託契約で許諾の範囲を確認したか番号法10条、委員会ガイドライン
6. 処理ルート番号を含む書類と含まない書類のルートを分けたか本記事の書類別の表
7. マスキングと原本保存写しのマスキング手順と原本の保存方法を決めたか委員会Q&A、国税庁FAQ Q1-17
8. 漏えい時の連絡顧問先への通知方法と報告フォームを確認したか委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」
9. 少数で試行番号を復元できないよう除いた写しで試し、帳票別に読み取り誤り・修正件数・確認時間を記録したか入力契約の確認後、従来の方法と照合

標準機能で足りない部分は業務に合わせて設計する

市販のAI-OCRや年調ソフトで足りない部分は、業務に合わせて仕組みを設計する選択肢もあります。例えばZeimeeは、エンジニアが事務所の業務を確認して帳票の読み取りやチェックの仕組みを設計・実装し、AIの候補は担当者が確認・修正・却下・承認してから取り込む設計にしています。公開している事例は年末調整ではなく、手書き日計表の確定作業や会計ソフト向けCSV作成の工程を見直したものです(導入事例)。データの扱いはセキュリティ方針で公開しています。一方、顧問先数が少なく電子データ化が進んでいれば、年調ソフトなどの標準機能で足りることもあります。

よくある質問

扶養控除等申告書の画像を生成AIに読み込ませてもよいですか?

個人番号欄を復元できない程度に消した写しに限るのが基本です。番号を含んだまま渡すと再委託に当たる可能性があり、その場合は顧問先の許諾が必要です。番号を消した写しも個人情報として契約・目的・安全管理を確認します。

年税額の計算にマイナンバーは必要ですか?

年税額の計算自体には個人番号を使いません。源泉徴収簿にも記載は不要です。扶養控除等申告書や給与支払報告書には記載が必要ですが、一定の帳簿を備えれば扶養控除等申告書への記載は省略できます(所得税法198条4項)。

11月に最後の給与を払う顧問先の年末調整はどうなりますか?

最後の給与を令和8年11月30日以前に支払う場合、その年末調整には改正後の基礎控除などが適用されず、従業員が確定申告等で適用を受けることになります(国税庁Q&A Q1-3)。

特定親族特別控除は令和8年分からの新しい制度ですか?

いいえ。令和7年度税制改正で創設され、令和7年分から適用されています。令和8年分では所得要件が62万円超123万円以下に改められました。

控除証明書の電子データがあればAI-OCRは不要ですか?

年調ソフトで取り込めば転記と控除額の計算は自動化されますが、給与システムが取込みに対応している必要があります。紙で届く分だけをAI-OCRで補う使い分けが考えられます。

マイナンバーを含むデータが漏えいしたら、どこに報告しますか?

受託した事務所は、速やかに委託元の顧問先に通知します。規定に沿って通知すれば事務所の報告義務は免除され、連名で報告する方法もあります。報告する場合はマイナンバー用フォームを使います(番号を含むか不明な場合も同じ)。

年末調整の入力作業をBPO事業者や他の事務所に回してもよいですか?

個人番号を含む事務を再委託する場合は、最初の委託者である顧問先の許諾が必要です(番号法10条)。番号を含まない作業でも、委託先の監督や守秘義務との関係を確認します。税理士法や社会保険労務士法との関係は、所属税理士会などの専門家や所管官庁に確認してください。

まとめ

  • AIに任せるのは、番号のない書類の読み取り、前年データとの差分の候補出し、案内文の下書きです。判定と確定は人が行います。
  • 令和8年度改正による基礎控除の引上げ等は原則12月1日施行です。数値は国税庁の資料で確認して判定表にし、AIには答えさせません。
  • マイナンバーは処理ルートを分けてAIに渡さず、写しのマスキングと原本の保存を混同しないようにします。
  • 再委託の許諾と漏えい時の報告基準を繁忙期前に確認します。

まずは10月中に、チェックリストの1〜3から着手してください。

参考資料

情報の確認日:2026年10月10日。別日の資料は個別に記載しています。

主な出典

出典の詳細を見る

製品の例として記載した他社の公式情報(リンクは設けていません):日本デジタル研究所「AI-OCR年末調整入力システム」製品ページ(更新日の表示なし)、ミロク情報サービス ニュースリリース(2025年9月17日)、マネーフォワード クラウド年末調整「2026年度対応のお知らせ」(2026年9月1日掲載)。

この記事の編集方針・執筆者

Zeimee編集部は、会計事務所のAI導入・開発を支援する株式会社Zeimeeの編集部です。

本記事は、会計事務所が顧問先の年末調整を受託する立場から、工程ごとのAIの使いどころとマイナンバーの扱いを整理するために、国税庁の令和8年分の年末調整資料・Q&A・FAQ、e-Gov法令検索の条文(番号法・所得税法・個人情報保護法)、個人情報保護委員会のガイドライン・Q&A・FAQ、日本税理士会連合会の公表資料など、一次情報を中心に調査しました。情報の確認日は2026年10月10日です。

例として挙げた他社のAI-OCR製品は、各社の公式ページ・ニュースリリースで対応帳票を確認したもので、実機での検証や比較は行っていません。生成AIサービスの実機検証も行っていません。削減時間や読み取り精度の数値は、出典を確認できる中立的な数値がないため掲載していません。

本記事は税理士による監修を受けていません。税務や番号法の取扱いは個別の事情によって変わります。具体的な判断は、所属税理士会、個人情報保護委員会、税務署などの所管官庁や専門家にご確認ください。

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