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相続税申告の預金取引履歴の整理にAIを使う|複数口座を日付順に一覧化する手順

相続税申告の資料づくり

預金の履歴を整理

複数口座を日付順に

読取・検算・一覧化の手順
運営元・掲載情報について

本記事は、記事内で紹介している「Zeimee」を提供する株式会社Zeimeeが執筆・運営しています。金融機関の取引履歴の発行条件は2026年10月10日時点の各行の公式FAQにもとづく例示で、外部への誘導リンクは設けていません。条件は変更される場合があるため、請求前に各金融機関へご確認ください。

相続税申告の取引履歴は、口座や資料形式ごとに届きます。複数口座・数年分を確認しやすい一覧へ整える手順を紹介します。

この記事では、取引履歴の整理を6つの工程に分け、AIに任せられる読み取り、プログラムで行う検算と並べ替え、税理士が担う判断の線引きを、国税庁などの一次情報をもとに整理します。

この記事の結論
  • 取引履歴の整理は、名義預金や生前贈与加算を判断する下準備です。
  • 読み取り・表の整形・摘要からの相手方や分類の候補付けはAI、残高による検算と並べ替えはプログラム、抽出基準の決定と判断は人、と担い手を分けると誤読を見つけやすくなります。
  • 何年分を見るか、いくら以上を抽出するかに法令上の一律の基準はありません。事務所で決めて記録します。
  • 相続人や家族の情報を入力する前に、AIの契約・設定を確認します。

相続税申告で預金の取引履歴を整理する目的

預貯金は相続税がかかる財産の代表例です(国税庁 タックスアンサー No.4105)。国税庁の『相続税の申告のためのチェックシート(令和6年分以降用)』も、相続開始日現在の残高、名義は異なるが被相続人に帰属するもの、国外の預貯金、既経過利息の計算を「現金・預貯金」の確認項目にしています。取引履歴の整理は、次の確認の材料をそろえる作業です。

  • 相続開始日の残高と既経過利子:預貯金は、課税時期の預入高と、その時点で解約した場合の既経過利子(源泉徴収される所得税相当額を控除)の合計で評価します。定期預金等以外で既経過利子が少額なら預入高で評価します(財産評価基本通達203)。
  • 相続開始直前の出金と手元現金:直前に引き出した現金が相続開始日に手元に残っていれば、現金として計上する対象になります。
  • 家族名義預金の帰属:国税庁の『相続税の申告のしかた(令和8年分用)』や『誤りやすい事例集』の事例⑥は、名義にかかわらず、被相続人が資金を拠出していたことなどから被相続人の財産と認められるものは課税対象になると示しています。
  • 生前贈与加算の対象:被相続人から相続人等への振込が、加算対象期間内の贈与に当たるかを確認する材料になります。

取引履歴の整理作業を6工程に分解する

整理を一つの作業として扱うと、どこで誤りが入ったのか分からなくなります。次の6工程に分け、担い手と成果物を決めます。

取引履歴の整理の6工程と担い手表は左右にスクロールできます。
工程内容主な担い手成果物
1. 取り寄せと口座の洗い出し口座を特定し、必要な期間の取引履歴を請求する人口座台帳
2. 読み取りPDF・紙の明細から日付・摘要・金額・残高を読み取るAI(文字情報のあるPDFはプログラムでも可)口座別の明細データ
3. 口座ごとの整形列名・日付・金額の書式をそろえるプログラム口座別の整形済みデータ
4. 残高による検算前行の残高と入出金から残高を計算し、合わない行を出すプログラム(合わない行の確認は人)検算結果つきの明細
5. 日付順の統合検算済みの口座を日付順に並べ、口座間の移動を対応付けるプログラム(対応付けの確定は人)全口座の一覧表
6. 抽出と確認事務所の観点で行を抽出し、相続人に確認する候補の提示はAI・プログラム、基準と判断は人抽出リスト・確認事項

成果物の目安として、東京国税局の書面添付(税理士法第33条の2。申告書の作成に関し計算・整理した事項などを記載した書面を添付する制度)に係るチェックシート〔相続税〕には、確認した年数、名義、取引金融機関名、口座番号等の記載欄があります。これらをすぐ書ける状態を目標にします。

取り寄せと口座の洗い出しで先に決めること

相続税の取引履歴を何年分見るか:法令上の一律の期間はない

取引履歴を何年分確認するかについて、法令で一律に定めた期間はありません。判断材料は次の3つで、最終的には案件ごとに事務所で決めます。

確認する期間を決めるための判断材料表は左右にスクロールできます。
判断材料内容出典
取り寄せ期間の終期相続開始後の入出金も確認するかを案件ごとに決め、請求する終期を指定する事務所で決める整理上の観点
生前贈与加算の対象期間相続開始日が2026年末までなら3年以内、2027〜2030年は2024年1月1日以後、2031年1月1日以降は7年以内国税庁 No.4161、相続税法第19条
書面添付のチェックシート「相続開始前5年間程度」の入出金の使途等を確認しているかという項目がある(法令上の義務期間ではない)東京国税局『書面添付に係るチェックシート〔相続税〕』(令和7年10月以降提出用)
金融機関の発行可能期間発行できる期間・手数料・日数は金融機関ごとに異なる各金融機関の公式FAQ(次の章で例示)

相続税法第19条は「7年以内」と定めていますが、経過措置により、7年がそのまま適用されるのは2031年1月1日以後の相続からです。また、国税通則法第70条の5年(偽りその他不正の行為で税額を免れた場合は7年)は税務署が更正・決定できる期間で、取引履歴を遡る期間を定めたものではありません。

相続人に請求してもらう場合も、必要な口座と期間を事務所で先に整理して伝えると、取り寄せ漏れや再請求を減らせます。

相続人の一人でも取引履歴を請求できる

最高裁平成21年1月22日判決は、共同相続人の一人が、他の相続人全員の同意なく取引経過の開示を求められるとしました。ただし請求の態様や対象・範囲により権利の濫用となる場合があるとの留保もあります。

発行期間・手数料・日数は金融機関ごとに異なる

発行可能期間・手数料・必要書類・日数は金融機関ごとに異なります。例えば、みずほ銀行の公式FAQでは最長10年前までと案内されています。必要な終期を含めて金融機関に確認し、申告期限から逆算して請求します。

取り寄せ時にあわせて確認するもの

  • 相続開始日現在の残高証明書と既経過利息の計算資料
  • 必要な始期・終期を指定した取引履歴
  • 同じ金融機関の他支店を含む口座照会の可否・手続

残高証明書に記載された定期預金等を含め、全口座が口座台帳に載っているかを照合します。法定相続情報一覧図の写しを相続税申告に使う場合は、子の続柄が実子か養子か分かる図形式のもの等、国税庁の提出条件も確認します。

預貯金口座付番制度では、被相続人が生前に任意で口座へマイナンバーを付番していた場合、相続人が金融機関で相続時照会を申し込めます。一部の対象外金融機関を除き付番済み口座の所在を確認でき、相続時照会はマイナポータルからは申し込めません(デジタル庁FAQ A9-15)。付番のない口座は通帳・郵便物・振替先等から別に探します。

口座台帳を先に作る

取り寄せの前に口座ごとに1行の台帳を作り、後の工程で使う口座IDもここで決めます。

口座台帳の項目例表は左右にスクロールできます。
項目書く内容・目的
口座ID例えば「A01」。統合後も口座を追えるようにする
金融機関・支店・種別・口座番号口座ごとに1行。同じ金融機関でも口座が違えば分ける
名義確認対象の家族名義口座も別の行で管理する
取得期間取り寄せた期間と、不足している期間
形式文字情報のあるPDF・スキャン画像のPDF・紙通帳のどれか
取り寄せ状況請求日・到着日・請求者・手数料

読み取りはAI、残高による検算はプログラムに分ける

取引履歴の資料の形式を見分ける

  • 文字情報のあるPDF(文字を選択・コピーできるPDF):プログラムで表を抜き出せる場合があります。列のずれや改ページの扱いを確認します。
  • スキャン画像のPDF・写真:AI-OCR(AIを使って画像から文字を読み取る技術)や画像を読める生成AIで読み取ります。かすれや傾きで誤読が起こりえます。
  • 紙通帳:スキャンしてから読み取ります。まとめて1行で記帳された部分は、取引明細の取り寄せを検討します。

読み取る項目と出力形式を固定する

出力列と原本のページ・行の参照方法を固定します。読み取りの指示例は次のとおりです。

読み取りの指示文の例

例えば、匿名化した明細に次のように指示します。

出力列を「ページ,日付(原本どおり),摘要(原本どおり),出金,入金,残高,備考」に固定する。
1取引を1行にし、行の順番を原本から変えない。
読めない箇所は空欄にし、備考に「要確認」と書く。
繰越行・ページ合計行には備考で印を付け、取引と区別する。
原本にない取引・金額・年を推測して補わない。

残高の連続性で検算する

読み取り結果は、各行で「前行の残高+入金−出金=当行の残高」が成り立つかを、Excelの数式やプログラムで全行計算して確かめます。成り立たない行は、金額か残高の誤読、行の抜けや重複が疑われます。不一致を原本で確認します。

ページの境目で残高がつながるか、相続開始日時点の残高が、同日時点の残高証明書と一致するかも確かめます。日付や摘要の誤読は残高検算では見つからないため、抽出した行は原本で確認します。

例えば口座別の表でD列=出金、E列=入金、F列=残高なら、繰越残高をF2に置き、G3に=IF(F2+E3-D3=F3,"一致","要確認")を入れます。空欄は確認済みのゼロと区別し、取引行だけに式を適用して、「要確認」を条件付き書式で強調します。検算後の統合では日付→口座ID→元の行番号の順に並べ替えます。

残高が合わないときに先に疑うこと

  • 同日取引の元の順序が入れ替わっていないか
  • 日ごとの最終残高しかない明細か(日単位で検算する)
  • △・-などの貸越や負残高の符号を落としていないか
  • 繰越・ページ合計を取引に含めていないか
  • 利息・源泉税が別行か、合算記帳で内訳が省かれていないか

AIの読み取り結果をうのみにしない

検算が合っても日付・摘要の正しさまでは保証されません。原本確認を残す考え方はChatGPTで明細を読み取る手順も参照してください。

複数口座を日付順の一覧にまとめる手順

口座ごとの明細がそろったら、1つの一覧表にまとめます。整形・検算・統合の具体的な手順は次のとおりです。

1. 口座IDを振る

口座台帳のIDを全行に入れ、統合後もどの口座の取引かが分かるようにします。

2. 列名を統一する

例えば「お引出し」「支払金額」のように金融機関ごとに違う列名を、出金・入金・残高などの共通の列名にそろえます。

3. 日付を正規化する

和暦を西暦に変換し、形式をそろえます。月日だけの明細は前後の行から年を補い、補った行に印を付けます。

4. 口座別に検算する

前述の方法で口座別の検算と不一致の確認を終えてから進みます。

5. 日付→口座→元の行番号の順で並べ替える

同じ日に複数の取引がある口座でも、元の順序を保てます。

6. 口座間の資金移動を対応付ける

同じ日・同じ金額で、一方の口座の出金と別の口座の入金がある組み合わせを候補として出し、人が摘要や原本で確かめてから対応付けます。

7. 確認欄と原本参照列を付ける

抽出フラグ、確認者メモ、相続人への確認事項の列を加え、原本ページと行番号の列を残します。

一覧表の列設計の例

取引履歴の一覧表の列設計の例表は左右にスクロールできます。
列内容入れ方
相手方振込先・引落先の名称候補摘要からAIが抜き出し、人が確認
分類生活費・医療・税金・家族送金・口座間振替・不明などAIが候補を出し、人が確定
日付西暦にそろえた取引日プログラムで変換
口座ID・金融機関・名義口座台帳の情報口座台帳から自動で入れる
摘要原本どおりの摘要AIで読み取り
出金・入金・残高カンマや円記号を除いた数値AIで読み取り、プログラムで数値に変換
原本ページ・行番号原本のどこにある行かページはファイルから、行番号はAIの出力順にプログラムで付番
検算結果残高の連続性が一致したかプログラム
抽出フラグ当てはまった抽出の観点AI・プログラムが候補を出し、人が確定
確認者メモ確認した内容・根拠・確認者人
相続人への確認事項使途・原資・管理状況などの質問人

明細を決まった形式へ整える考え方は、顧問先のExcel・明細を生成AIで整える手順でも解説しています。

日付順の一覧の形の例(すべてダミー)表は左右にスクロールできます。
日付・口座ID出金/入金相手方・分類候補検算・抽出
2026-01-05 A01出金10,000円B01/口座間振替一致・振替候補
2026-01-05 B01入金10,000円A01/口座間振替一致・振替候補
2026-01-06 A01出金3,000円家族口座/家族送金一致・使途確認
2026-01-07 B01入金500円不明/不明要確認・原本確認
2026-01-08 A01出金1,000円ATM/現金一致・手元現金確認

これは表の形を示す例で、実際の顧客や申告事例ではありません。日付順に統合しても、検算用の口座別データは残します。

取引履歴の抽出の観点は事務所で決める

一覧ができたら、確認すべき行を抽出します。国税庁などの一次資料に一律の金額基準はないため、事務所で基準を決め、案件ごとに記録します。観点の例は次のとおりです。

取引履歴の抽出観点の例表は左右にスクロールできます。
観点一覧での見つけ方次に人が確認すること関係する論点
相続開始後の出金・引落し開始日後のATM出金、医療費・施設費・税金など出金した人、使途、開始日時点の債務等の資料現金の確認、債務控除・葬式費用の判断材料
配当・賃料などの入金証券会社・不動産関連などと思われる入金保有資産や契約、入金の対象期間預貯金以外の財産の把握
一定額以上の出金出金額が事務所で決めた基準額以上の行使途と受取先現金の計上、名義預金、生前贈与加算
相続開始直前の出金相続開始日の直前の期間にある出金相続開始日に現金で残っていたか現金の計上
家族名義口座への振込摘要の振込先名義が相続人や家族の行贈与か、誰が管理・運用していたか名義預金、生前贈与加算
定期的な同額の振込同じ相手への同じ金額の振込が繰り返される行贈与か、生活費などの支払いか生前贈与加算
口座間の資金移動同日・同額の出金と入金の組み合わせ移動先が口座台帳にある口座か口座の把握漏れ
使途の分からない現金引出し摘要がATMなど現金の出金を示す行使途と、手元に残っている現金の有無現金の計上
保険料・証券会社への送金摘要に保険会社や証券会社の名前がある行契約や口座の有無預貯金以外の財産の把握漏れ

AIやプログラムには、基準に当てはまる行に印を付ける作業や、摘要の振込先名義から家族名義の候補を出す作業を任せられます。印が付かない行に問題がないとは限らないため、相続人へのヒアリングで補います。

少額の振込も対象から外さないようにします。国税庁のタックスアンサーNo.4161によれば、加算対象期間内の贈与は、暦年課税の基礎控除額110万円(No.4402)以下でも加算されます(相続開始前3年以内より前の延長期間に受けた贈与は、総額100万円まで加算しない取扱いがあります)。

相手方別・年別に集計する

摘要から相手方と生活費・医療・介護・税金・保険・家族送金・口座間振替などの分類候補を付け、人が確認します。確認後に相手方別・年別で集計すると、定期的な振込や家族への送金の総額を追いやすくなります。分類は使途の確定や税務判断とは分けます。

AIに任せないこと:名義預金・贈与・評価の判断

AIとプログラムが担えるのは、読み取り、並べ替え、検算の補助、候補の提示までです。次の判断は税理士が担います。

AI・プログラムができることと人が担う判断表は左右にスクロールできます。
作業AI・プログラムができること人が担うこと
帰属の判断(名義預金)家族名義口座への資金の流れを一覧にする原資・管理・運用等の状況から、被相続人に帰属するかを判断する
贈与の有無と加算対象家族への振込を日付・金額で並べる贈与に当たるか、加算対象期間内かを確認して判断する
現金の計上額相続開始直前の出金を一覧にする相続開始日に残っていた現金の額を相続人に確認して決める
預貯金の評価相続開始日の残高を一覧から示す既経過利子を含めた評価額を計算・確認する(財産評価基本通達203)
申告書の作成整理した一覧を判断材料として渡す税理士が作成し、内容に責任を持つ

帰属の判断では、相続人へのヒアリングで使途・原資・管理の状況を確かめます。東京国税局のチェックシートも、名義が異なっていても、原資・管理・運用等の状況から被相続人に帰属するものがないかを確認項目にしています。

一覧から作る相続人への確認事項(材料の確認例)

  • 家族名義口座の通帳・届出印・カードを誰が保管していたか
  • 生前の生活費や預金を誰が管理していたか
  • 大口出金・現金引出しの使途と領収書・請求書の有無
  • 相続開始日に手元現金がどのくらいあったか
  • 贈与契約書・贈与税申告書などの有無
  • 入院・施設入所の時期と代理で出金した人

これらは事実を集める項目で、回答だけから名義預金や贈与を自動判定するものではありません。

税務書類の作成や税務相談は税理士業務です(税理士法2条・52条)。AIの候補を判断材料にとどめ、税理士が資料と事実を確かめます。全体の分担はAI活用の業務早見表も参照してください。

取引履歴データの扱い:相続人の個人情報と守秘義務

死者の情報は原則として個人情報保護法の対象外ですが、生存する遺族の情報でもある場合は対象です(PPC Q1-21)。家族の氏名等が含まれる履歴も、守秘と安全管理の対象として扱います。

  • 税理士法:税理士業務に関して知り得た秘密を正当な理由なく漏らしてはならず(第38条)、使用人等も同様です(第54条)。税理士は使用人等を監督しなければなりません(第41条の2)。
  • 個人情報保護法:安全管理(23条)と、個人データの取扱いの委託に当たる場合の監督(25条)を行います。

生成AIサービスに取引履歴を入れる前に確認すること

個人情報の入力は利用目的に必要な範囲かを確認します。本人の同意なく個人データを入力する場合には、学習利用等を十分確認します(PPC注意喚起、2023年6月2日)。

入力項目を必要な範囲に絞り、氏名・口座番号など不要な情報を外します。契約と実際の処理を踏まえた判断は守秘義務と生成AIの判断表で整理しています。

クラウドに保存する場合は別に確認する

PPCのQ&A7-53は、保存先の事業者が個人データを取り扱わない契約とアクセス制御等がある場合、第三者提供にも委託にも当たらないと整理しています。この保存サービスの整理を、データを処理して応答する生成AIにそのまま適用できるとは限りません。

本記事は現行法に基づきます。2026年7月公布の改正法本体は未施行で、施行状況は令和8年改正で確認します。

表計算で回すか、専用の仕組みを作るかの判断

Zeimeeは税理士事務所の現場で業務を確認しながら、金融機関ごとの取引履歴PDFを読み取り、口座をまたいで日付順に整理したExcelを出力するツールを開発しました(導入事例)。

案件・口座が少なければ表計算から始めます。形式のばらつきやスキャン画像が多く、同じ整形を繰り返す場合は個別設計を検討します。まず口座台帳・列設計・検算式を試し、時間がかかる工程を把握します。データの扱いの方針も確認してください。

よくある質問

相続開始後の取引も一覧に入れますか?

医療費・税金等の出金も別に抽出し、使途と開始日時点の債務等の資料を確認します。開始後の残高は開始日時点の残高と区別し、債務控除・葬式費用に該当するかは税理士が判断します。

家族名義口座の取引履歴はどう取り寄せますか?

被相続人名義の口座とは手続が異なります。名義人本人の請求や同意が必要になる場合があるため、請求できる人と必要書類を金融機関へ確認します。確認対象に挙がっただけで、相続人が他の家族の履歴を請求できるとは扱いません。

ChatGPTなどの汎用の生成AIに取引履歴のPDFを入れてもよいですか?

取引履歴には相続人や家族の氏名・口座が含まれることがあります。入力した情報が機械学習に使われないかなどの条件を確認し、守秘義務の観点から何を入力してよいかを事務所として決めておく必要があります。条件を確認していないサービスにそのまま入れる運用はおすすめしません。判断の整理は守秘義務と生成AIの判断表を参照してください。

AIの読み取り結果はどこまで確認すればよいですか?

少なくとも、残高検算が合わなかった行、抽出の観点に当てはまった行、それ以外からの抜き取りを原本と照合します。日付や摘要の誤読は残高検算では見つからないためです。

AIは名義預金かどうかを判定できますか?

判定はできないと考えるべきです。名義預金に当たるかは原資・管理・運用等の状況から判断する事項で、取引履歴だけでは分からない事情も含まれます。AIの役割は、資金の流れなど判断の材料を整理するところまでです。

紙の通帳しかない場合はどうすればよいですか?

スキャンして画像として読み取ります。未記帳の期間の取引がまとめて1行で記帳されている部分(いわゆる合算記帳)は個々の取引が分からないため、その期間の取引明細を金融機関から取り寄せることを検討します。

抽出する出金の金額基準はありますか?

国税庁などの一次資料で、一律の金額基準は確認できませんでした。事務所で基準額を決めて案件ごとに記録し、少額でも家族への振込や定期的な振込といった観点を併用します。

まとめ

  • 相続税申告の取引履歴の整理は判断の下準備です。6工程に分け、工程ごとに担い手と成果物を決めます。
  • AIは読み取り、プログラムは検算と並べ替え、人は抽出基準の決定と名義預金・贈与・評価の判断を担います。検算は口座別に済ませてから統合します。
  • 取引履歴には相続人や家族の情報も含まれるため、入力先と記録の扱いを先に決めます。

1件の案件で口座台帳・一覧表・検算式を試し、確認に時間がかかる工程を把握してください。

参考資料

情報の確認日:2026年10月10日。別日の資料は個別に記載しています。

金融機関の発行条件は各行の公式FAQの例であり、すべての金融機関に当てはまるものではありません。

主な出典

出典の詳細を見る

法令・官公庁・業界団体などの資料

金融機関の公式資料(外部リンクは設けていません)

  • みずほ銀行 公式FAQ「相続預金の取引明細証明書を発行したい。」(株式会社みずほ銀行、FAQ更新2023年6月16日)
  • 滋賀銀行 公式FAQ「相続預金について死亡日以前の預金取引明細書を請求したい」(株式会社滋賀銀行、手数料は2019年10月現在の表記)

自社資料:株式会社Zeimee「導入事例」

この記事の編集方針・執筆者

Zeimee編集部は、会計事務所のAI導入・開発を支援する株式会社Zeimeeの編集部です。

本記事は、相続税申告で金融機関から取り寄せた預金の取引履歴を、税理士事務所の中で確認しやすい一覧に整える作業を対象に、国税庁・東京国税局の資料、e-Gov法令検索の条文、最高裁判決、個人情報保護委員会や総務省・経済産業省の資料などの一次情報を中心に調査・整理しています。検索結果の上位記事で扱われている論点も確認したうえで、一次情報で根拠を確かめられたものだけを記載しました。

情報の確認日は2026年10月10日です。金融機関の発行条件は、各行の公式FAQを確認日とともに例示したもので、すべての金融機関に当てはまるものではありません。AI-OCRや生成AIでの読み取り精度の実機検証は行っていません。手順・列設計・抽出の観点は一般的な例です。名義預金・贈与・財産評価などの個別の判断は税理士の責任で行い、必要に応じて専門家や所管官庁に確認してください。事例は株式会社Zeimeeの公開事例にもとづきます。

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